2026.01.21
(最終更新:2026.01.21)

壇上の関係者

サステナブルファッション・プラットフォーム協議会の設立を発表する代表理事企業と自治体、省庁の関係者=2025年11月25日、阪急うめだ本店(サステナブルファッション・プラットフォーム協議会提供)

編集部

記事の要点

◇2025年11月、産官民連携でサステナブルファッション協議会が設立
◇2030年度に使用済衣類8000tを回収、3500tを国内で循環利用へ
◇環境省モデル実証事業として2年連続採択、大阪から関西・全国に展開

使用済みの衣類を捨てるのではなく、リユースやリサイクルで循環させる――。大阪府と民間企業が共同で進めてきた衣類の循環システム構築の取り組みが、2025年11月25日に「サステナブルファッション・プラットフォーム協議会」として正式に発足した。2030年度までに年間8000t以上の使用済衣類を回収し、大阪から関西、そして全国へと展開する計画だ。

この日、阪急百貨店の阪急うめだ本店(大阪市北区)で開かれた記者会見には、代表理事を務める青山商事、エイチ・ツー・オー リテイリング、JR西日本SC開発、ファイバーシーディーエムの4社代表のほか、大阪府、環境省、経済産業省の関係者が出席した。

記者会見場
記者会見の様子(サステナブルファッション・プラットフォーム協議会提供)

環境省の実証事業から協議会へ

この協議会の母体となったのは、2024年度から始まった民間企業と大阪府による使用済み衣類の回収・循環システム構築の取り組みだ。環境省が推進する「使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業」に2年連続で採択され、「oHOHo(オホホ)サイクルプロジェクト」という名称で活動してきた。

2024年度の実証期間(10月〜12月の54日間)では、目標の50拠点を上回る65カ所の回収拠点を設け、約4932kgの使用済衣類を回収した。回収された衣類は、大阪府泉南市に大規模な選別工場を持つファイバーシーディーエムで一元的に選別。リユース可能な衣類は同社のショップなどでリセールし、それ以外はマーケットニーズに合わせたリサイクル製品の開発につなげている。

CO2削減効果の可視化にも取り組んでおり、Earth hacksが提供する「デカボスコア」を活用した結果、2024年度の実証事業では2万7209kgCO2eから648kgCO2eへと大幅な削減を実現した。

2030年度に8000t削減を目標

協議会が掲げる量的目標は明確だ。2030年度までに年間8000t以上の使用済衣類を回収し、大阪府下での焼却・埋め立てを大幅に削減する。回収した衣類のうち、国内でのリユース、リサイクルといった循環利用で年間3500tを処理する計画だ。

協議会の活動方針は2つ。ひとつは、生活者が手軽に衣料品回収に取り組める環境を整え、継続できる透明性の高い衣料品回収システムを構築すること。もうひとつは、回収した衣類の循環利用とサステナブルファッションのマーケット開拓だ。

2030年までのロードマップ
2030年までのロードマップ(サステナブルファッション・プラットフォーム協議会提供)

協議会には、代表理事4社のほか、理事・準会員としてEarth hacks、シキボウ、モリリン、住友大阪セメント、MILKBOTTLE SHAKERSが参画。自治体からは大阪府、堺市、吹田市、泉佐野市、藤井寺市が加わり、応援企業として徳島大正銀行が支援する。環境省近畿地方環境事務所と経済産業省製造産業局も関係省庁として協力する体制だ。

サプライチェーン全体で循環を実現

協議会の特徴は、回収から運搬、選別、リユース、リサイクル、製造、販売まで、衣類循環の全プロセスをカバーする多様な業種の企業が参画している点にある。

循環利用には費用負担という課題があるが、協議会では会員企業が協力して規模の経済を効かせることで費用を低減させ、持続可能な取り組みを目指す。一企業だけでは進めづらい資金調達の強化や、トレーサビリティを確保して循環性の価値を高めることにも取り組む。

今回、協議会は9つのステートメントを発表した。パリ協定に賛同してCO2排出量を削減すること、省庁との密な連携により政策提言を行うこと、小売業が生活者と「つなぎ役」となって行動変容を促すこと、将来的に希少性が高まる再生繊維に会員企業が優先的にアクセスできる市場を創出することなどを掲げている。

9つのステートメント
協議会が掲げる9つのステートメント(サステナブルファッション・プラットフォーム協議会提供)

協議会は今後、関西他地域や全国への拡大を視野に入れ、2025年度も6月23日から12月19日の期間で実証事業をおこなった。大阪から始まったサステナブルファッションの取り組みが、日本全体に広がっていくことが期待される。

池田美樹

池田美樹
( いけだ ・みき )

朝日新聞SDGs ACTION!契約編集者

株式会社マガジンハウスで『Olive』『Hanako』『anan』『クロワッサン』などの雑誌編集者、米国テック会社のニュース編集者を経てフリーランスに。ウェルビーイング、テクノロジー、女性の働き方、旅などを主な取材テーマとする。 池田美樹の記事一覧

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