ビサヤ語、シンハラ語の小学生たち

「これは、何ですか?」

小学2年生の男子、R君が筆箱を持って、4年生の男子、S君に尋ねる。

S君はなかなか言葉が出てこない。通訳の女性が「ふ」と頭文字をさりげなく伝える。

「これは、『ふ、ふ、ふでばこ』です」

先生から「正解」の声がかかると、安堵の表情を浮かべた。

S君のタブレットには日本語で指示が書かれていたが、その下には彼の母語であるシンハラ語訳が表示されていた。

教室内には「COMER 食べる」(スペイン語)など、さまざまな日常言語の紹介があり、廊下の壁に貼られた児童の絵にはカタカナの名前が添えられている。校内を歩くと、多様な国にルーツを持つ子どもたちが通う学校の日常が見えてくる。

神奈川県愛川町は人口約4万人、そのうち3890人(2025年12月1日現在)と約10人に1人が外国籍だ。中心部に巨大な工業団地が広がり、100社超が操業する。その労働力確保の動きの中で外国人も増えていった。

当初は1990年の入管法改正で日系ブラジル人など南米からの日系人が多く入ってきたが(在留資格は「定住者」)、近年は技能実習・特定技能制度の導入で、アジア系住民が増加している。

そうした中、外国にルーツをもつ子どもたちも増えてきた。中津小では、全児童約420人のうち100人強、約4分の1に上る。ペルー、カンボジア、ブラジル、フィリピン、スリランカ、パキスタン……。そこで課題になるのが、そうした子たちの日本語学習だ。

それは決して簡単なことではない。

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