ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.10.28 15:22
◇知識と技術を備えた質の高い労働力
女性労働者だけではない。1960年代の軽工業から1970年代の重化学工業まで、韓国の産業現場には義務教育課程を経た、すなわち基礎知識と技術を備えた労働力が豊富に存在した。彼らは給料の一部を故郷に送り、そのおかげで中高、さらには大学に進学した地方の弟妹たちはより高い所得を得て、その後、他の家族の教育や生計を支えるようになった。初等教育を終えた労働者たちの汗と涙から始まった家族内の「人的資本蓄積の好循環構造」が生まれたのだ。この人的再投資は、1960年代のテイク・オフ期を経て、1970~80年代の飛躍期まで続いた。教育というはしごを登って社会的・経済的上昇を夢見た韓国人の並外れた教育熱は言うまでもない。
20世紀の韓国経済発展は、指導者の強力なリーダーシップによるものだという分析が多い。しかし、1950年代に導入された義務教育を通じて人的資本を蓄積した国民がいなければ、それは不可能だった。1960年代の急速な成長を軍人出身の朴正煕(パク・チョンヒ)政権の成果とだけ見る人も多いが、経済学的に見れば、小学校で一生懸命学び、産業の現場に飛び込んだ無数の労働者たちの役割が非常に大きかった。筆者が幼いころに見たあの「女工」さんたちが、韓国経済成長の名もなき主役であったことは否定できない。
韓国の無償義務教育は2004年、全国の中学校まで拡大された。高校までの拡大も進行中だ。現在、「義務教育」という言葉がほとんど意味を持たないほど、韓国人の教育への熱気と投資は世界最高水準だといえる。それでもなぜ、21世紀に入って経済が再び勢いを取り戻せないのか。それは20世紀の教育方式、すなわち模倣と暗記の時代が終わったからだ。20世紀型の人的資本ではなく、21世紀型の人的資本を育てることを私たちが怠けてきたためだ。
社会も時代も急速に変化したが、私たちはいまだに過去を忘れることができず、的外れなところに投資してきた。今こそ教育でも大きな転換が必要だ。開発・成長時代への郷愁は、今では毒リンゴになった。人工知能(AI)の時代を導く創造的な人的資本を育成するために知恵を集めるべき時だ。70年以上前の義務教育導入当時よりも、いっそう切迫した課題だ。冒頭で述べた韓国のゼロ成長のトンネルを抜け出す妙案も、まさにそこにある。
キム・セジク/ソウル大学経済学科名誉教授
<創刊企画「大韓民国トリガー60」㊹>韓国戦争のときも熱かった教育熱…経済大国をリードする「産業戦士」たちを生んだ(1)
