
能登の風景写真と恐竜イラストのコラボ作品を手にする、西田隆星さん(右)と絵美さん。写真は右上から時計回りに、のとじま水族館、波の花、福が穴、道の駅輪島=金沢市で
恐竜をポップに描く中学1年生のデジタルアート作家、西田隆星(りゅうせい)さん(12)=金沢市=が21日から、輪島市河井町の北陸銀行輪島支店で個展を開く。能登の風景写真に恐竜のイラストを重ねた描き下ろし作品を中心に、パネル16点を展示。名所を闊歩(かっぽ)するカラフルな恐竜たちを通じ、被災地にパワーを届ける。(高橋雪花)
顔は黄色、胴体はモノクロの恐竜が、のとじま水族館(七尾市)の水槽を悠々と泳ぐ。黄色と灰色の2体が寄り添い歩くのは、雲海の中ではなく、海岸に現れる冬の風物詩「波の花」。A3判の写真パネルには、大胆な筆致の恐竜が、能登での散策を楽しむかのように生き生きと描かれる。同市の和倉温泉の上空写真をよく見れば、3センチ大のオリジナル恐竜「クラジオレックス」が、旅館に向けて口をがばっと開けている。
隆星さんは6年ほど前から、ゴジラをきっかけに恐竜にはまり、デジタル端末で膨大に描いてきた。中度知的障害があり、絵は言葉よりも自在な表現の手段。現在は金沢市のいしかわ特別支援学校に通う傍ら、障害者のアーティストとしての自立を支援する「金沢アート工房」に所属し、活躍している。
母絵美さん(38)によると、能登半島地震で、当時住んでいた同市内の自宅は水道管が破裂し浸水した。1カ月ほど親戚宅に避難し、隆星さんは余震が来ると「巨人が来た」と落ち着かない様子だったという。絵美さんは「能登の方々はもっと怖い思いをしているだろうと想像し、泣きそうになった」と話す。
そんな中、輪島市で親戚が被災したという知人から「能登の人が絵を見たら元気が出ると思う」と展示を勧められた。以前ロビー展を開いた経験から、絵美さんが地元の北陸銀支店に掛け合い、輪島支店での展示が実現した。
隆星さんは8月末から、フリー素材の写真などを題材とし、パソコンのタッチパネルに指でイラストを描き込んだ。地震の半年ほど前、家族で遊びに行った輪島市の洞窟「福が穴」をテーマにした作品も。まるで家族旅行のように、5体の恐竜がひしめき合う。
記者に展示が楽しみかと尋ねられ、「はい」と答えた隆星さん。絵美さんは「能登で展示させてもらえることがうれしいし、ありがたい。見ている間だけでも楽しい気持ちになってもらえたら」と話す。
展示は12月初めごろまで、入場無料。平日のみ、午前9時〜午後3時(午後0時半〜1時半は休み)。
