韓国ドラマなどでも最近ブームな人生やり直しドラマが、中国時代劇でも浸透中。BS11で10月29日からスタートする「度華年(どかねん) The Princess Royal」(月~木曜 午後3:59~5:00)は、無念の死を遂げたカップルが、本人たちも予期せぬ展開で20年前に戻ってしまったことから、自分たちの死を阻止しようと奮闘するロマンス時代劇。歴代中国王朝でも繰り返されてきた皇族と皇后の一族たちによるドロドロの権力闘争の中で、最悪の結末を回避するために共闘し、憎しみ合っていた関係から本当の夫婦へと愛を育む。未来を改変することによって生じた新たな問題に先が読めなくなる、タイムリープ時代劇の魅力に迫る。
多様化する中国ファンタジードラマの世界
中国では時代劇のことを、昔の衣装を着たドラマということで古装劇という。近年は歴史上の時代を描いた本格時代劇より、架空の時代や古代中国風の異世界を描いたファンタジー時代劇が制作される傾向となっている。しかも、RPGのような剣と魔法が入り乱れる異世界ファンタジーや、中国古来の仙人などが活躍する仙侠ファンタジーなどジャンルも多彩。中でも近年人気なのが、タイムリープ時代劇だ。現代人が過去に飛ばされ、現代技術と浅い歴史知識を武器にサクセスしたり皇子と恋に落ちたりするのが定番だが、本作は、若い頃に逆戻りして人生をやり直すというタイムリープ型ヒューマンストーリー。
日本でも、映画「東京卍リベンジャーズ」や韓国ドラマをリメークした「私の夫と結婚して」(Amazon Prime)など、現代を舞台にしたタイムリープドラマは多いが、時代劇では愛憎関係のほか国の行方を左右する陰謀なども絡んでスケールが大きくなる。衣装やセットも豪華で、映像的にも華やか。しかも、通常はタイムリープするのは主人公1人だが、本作では主人公カップルが2人ともタイムリープしている。自分だけが人生をやり直していると思うところから、お互いにタイムリープしたことを知って共闘する中で、タイムリープ前には言えなかった自分の気持ちをぶつけ、未来(過去)を変えるために手を取り合う。従来のタイムリープドラマが「過去の記憶を活かして復讐や回避に向かう」構造を主軸としてきた中、本作では、記憶を保持した主人公が憎しみの感情に囚われることなく、むしろ関係性の修復と人生の再構築を目指す点が新鮮だ。
過去の痛みを知っているからこそ、同じ過ちを繰り返さず、より良い未来を築こうとする姿勢は、単なる“やり直し”を超えた人間ドラマとしての深みをもたらしている。タイムリープという設定を、復讐ではなく再生の物語へと昇華させた点において、本作はジャンルの枠を一歩踏み出した意欲作なのだ。
