大分県立美術館(大分市)で「OPAM開館10周年記念 きらめく日本美術 1300年の至宝展」が11月22日から開催されます。
本展では、同館開館10周年を記念して大分の美を総力特集。国宝・重文27点を含む貴重な美術工芸品約200点が公開されます。八幡信仰、禅宗、南蛮、豊後南画等の大分の美術が、江戸や京都の美術と関連しながらも異なる特徴を持ち、豊かに拡がる様相が紹介されます。特に、「新田肩衝」を含む大友宗麟旧蔵の現存茶道具が初めて一堂に会する展示は必見です。
OPAM開館10周年記念 きらめく日本美術 1300年の至宝展
会場:大分県立美術館(大分市寿町2番1号)
会期:2025年11月22日(土)~2026年1月14日(水)
開館時間:10:00~19:00(金・土曜は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
休館日:2025年12月22日(月)
観覧料:一般1,400円、大学・高校生1,200円
※中学生以下は無料
※学生の方は入場の際、学生証をご提示ください。
※障がい者手帳等をご提示の方とその付添者(1名)は無料
問い合わせ:TEL 097-533-4500
アクセス:JR大分駅から徒歩約15分、バスで約10分
詳細は、大分県立美術館公式サイトまで。
本展について
陸海の豊かな自然風土を有する大分の地は、北部九州の東側に位置し、古くは豊前・豊後と呼ばれた土地です。瀬戸内の海路によって東方の畿内と通じ、また周防灘や筑後川を経て、西方の中国大陸や朝鮮半島との交流や交易が盛んに行われ、古来、豊かな文化を醸成してきました。今なお、大分の地に遺る美術の数々は、現代の私たちに繋がる人類の歴史と精神を紐解く貴重な宝物といえるでしょう。
本展では、古代から近世の豊前・豊後の地域に伝えられた古美術に焦点をあてます。国宝・重文を含む貴重な美術工芸品約200点を通じて、大分の美術の特色を見ていくとともに、京都や江戸あるいは中国など、文化の中心地であった中央の美術との関連にも注目します。
八幡信仰、禅宗、南蛮、武家風俗・都市風俗、豊後南画等々の美術を横断的に特集しながら、周縁に位置する大分の美術が、中心地の美術と関連しながらもまた異なる特徴を持ち、豊かに拡がっていく様相が紹介されます。
展示ハイライト
1章 神と仏が出会う 八幡信仰の至宝
宇佐神宮は全国4万社ある八幡宮の総本社です。2025年は宇佐神宮に八幡神が御鎮座して1300年という記念年。日本古来の八幡神は仏教と融合し、国家と仏法の守護神となり全国に広まっていきました。
重要文化財 国宗 「太刀」 鎌倉時代(13世紀)柞原八幡宮/大友氏の奉納刀。武家の信仰を集めた武運の神・八幡神だ
重要文化財 八幡三神像 (左)木造僧形八幡神像(中)木造女神坐像(比売大神)(右)木造女神坐像(神功皇后像)平安時代(12世紀)奈多宮
2章 守護大名大友氏の台頭と禅宗文化
相模国(神奈川県)にルーツをもつ大友氏。ほぼ無名に近い一族が、鎌倉幕府・源頼朝の大抜擢で豊後・筑後の守護職に就きます。次代には室町幕府・足利尊氏の信任を得て、引き続き豊後を中心に九州北部を治めました。彼らは、自らの精神的支柱を禅宗に求め、当時最先端の禅宗文化を導入していきました。
白隠慧鶴 「達磨像」 江戸時代(18世紀) 万寿寺
白隠は絵を描いて禅の教えを説き、江戸時代に人気を博した禅僧です。大分は九州において白隠禅が広まる最初の拠点でした。2mをこえる、人間の身長よりも巨大な掛軸のダルマ像に圧倒されます。
国宝 馮子振 「無隠元晦あて法語」 中国・元時代(14世紀) 東京国立博物館 ※展示期間11/22~12/21
無隠元晦は大友貞宗に派遣された留学僧。本作品は、元の著名な文人から与えられた書として知られ、松江藩主の著名茶人・松平不昧旧蔵の逸品としても要注目です。
3章 大友宗麟の栄華
戦国時代になると、大友宗麟が九州6か国 (豊後、豊前、筑前、筑後、肥前、肥後)の守護職を手中に収めて最盛期を極めます。将軍・足利義輝からも九州探題に任ぜられました。1551年、宣教師フランシスコ・ザビエルを府内に招き、南蛮貿易も開始します。宗麟は、ポルトガル、中国、東南アジア諸国との積極的な国際貿易を行いました。
一方で宗麟は千利休から「なかなかの数寄者(風流人)」と評され、芸能・文化に優れた才能を発揮します。その莫大な経済力を背景に、書画、茶道具の名品を収集しました。
本章では、宗麟が集めた現存する茶道具の名品3点が、史上初めて一堂に会します。いずれも将軍家や名だたる武将の手を経て今に伝来した宝物として知られ、宗麟が愛した奥深い茶道具の魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。
重要美術品「唐物肩衝茶入 銘 新田肩衝」中国・南宋時代(12~13世紀) 公益財団法人徳川ミュージアム
重要文化財 玉澗 「山市晴嵐図」 中国・南宋時代末期 – 元時代初期(13世紀)出光美術館
伝 狩野永徳 「帝鑑図屏風」 桃山時代(16世紀末期)個人蔵
大友宗麟は、元亀2年 (1571年)、信長や秀吉の御用を勤める当時最高の絵師 ・狩野永徳を豊後に招聘し、臼杵・丹生島城の襖絵を描かせました。その襖絵は今は焼失しましたが、その丹生島城と同じ画題 「帝鑑図」(中国歴代皇帝の善例 ・悪例を描く)の屏風を公開し、当時の栄華を伝えます。
4章 豊後南画と中国絵画
戦国の世が終息し、江戸時代に入ると、天下泰平のもと、経済発展に伴って庶民文化が大いに広がりました。徳川幕府は長崎出島においてオランダ・中国との貿易を許可します。大陸から最新の文化が流入し、その文物が天領日田に集まっていきました。中でも中国 ・明清時代の書画は、知識人たちの関心を集め、それに学んだ品格ある豊後南画を生むことになります。
重要文化財 田能村竹田 《歳寒三友雙鶴図》 天保2(1831)年 個人蔵
天領・日田には輸入された中国文物が集められ、洗練された品格ある文化が展開しました。
第4章では、日田の豪商・千原家が所蔵した中国絵画の名品が各地から里帰りします。当時人気を集め、南蘋ブームを巻き起こした中国の沈南蘋しんなんぴんの作品が公開されるほか、南蘋風を学び、日田の豪商・森家に招聘されて豊後南画に大きな影響を与えた長崎派の絵師・真村蘆江や、豊後南画を大成した田能村竹田の名品などが披露されます。
5章 近世豊前・豊後の藩絵師、浮世絵師の活躍
現在の大分県の県域は、江戸時代の中津藩、杵築藩、日出藩、府内藩、臼杵藩、佐伯藩、岡藩、森藩の8藩が分立するとともに、幕府直轄の天領日田や、他藩が管轄する飛び領が点在していました。小藩分立の各地には、各藩の御用を勤める藩絵師や浮世絵師が活躍しました。
本展では、大分県立美術館の開館10周年にふさわしく、国宝・重文指定作品を数多く含む、珠玉の約200点が登場。いずれも地元大分ゆかりの日本美術の名品揃いとなり、日本美術ファンはもちろん、はじめて美術工芸にふれる人にも自信を持ってお薦めしたい力の入った展示内容となっています。2025年は八幡大神の宇佐神宮御鎮座1300年の記念年でもあります。ぜひこの記念となる年に、大分の豊かな文化風土の歴史を紐解き、そこに育まれた美術の魅力や精神を再発見してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
