米財務省が保有する金準備の価値が29日、1兆ドル(約149兆円)を突破した。金が過去最高値を更新する中、政府のバランスシートに記載された金額の90倍以上に膨らんだ。

  米国の金準備は世界最大の保有量で、年初から45%の上昇を経て、29日に金価格が1オンス=3824.50ドルを超えたことで節目を突破した。ただし、公式評価額は1973年に議会が定めた1オンス=42.22ドルを基準としており、110億ドル余りにとどまる。

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  今年、金現物価格は相次いで最高値を更新している。背景には、通商を巡る対立や地政学的緊張、米国での政府閉鎖への懸念拡大など、市場の混乱から安全資産を求める投資家心理がある。金に裏付けられた上場投資信託(ETF)への資金流入や、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの再開も上昇を後押しした。

  今年、ベッセント財務長官の何気ない発言で、政府が金準備を評価替えし、数千億ドル規模の資金を生み出すとの憶測が一時的に広がった。ベッセント氏は後にその可能性を否定している。

  米国の金は、多くの国と異なり中央銀行ではなく政府が直接保有している。FRBは財務省の保有量に対応する金証券を保持し、代わりにドルを政府に振り替えている。仮に保有額を現行価格で再評価すれば、約9900億ドルが財務省の手元に入る計算になる。

  米政府の債務上限問題を踏まえれば魅力的に見えるが、そうなれば金融システムに広範な影響が及び、流動性を増大させ、FRBのバランスシート縮小が長期化する可能性がある。

  ドイツ、イタリア、南アフリカは、過去数十年の中で準備高を再評価する決定をしたことがある。FRBのエコノミストが8月に発表したリポートでも言及されていた。

  米国の金準備の半分強はケンタッキー州の米陸軍基地フォートノックスの隣にある地下保管庫に深層保管されている。そのほかはウェストポイント、デンバー、そしてマンハッタン南部のFRB本部ビル地下24メートルの保管庫に分散されている。財務省のデータによると、米政府の金保有量は約2億6150万オンス(約7億4000トン)に上る。

  金スポット価格はロンドン時間午後1時35分時点で、1.5%高の3814.82ドルで取引されている。

原題:US Gold Reserves Hit $1 Trillion in Value After Record Rally (1) (抜粋)

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