セバスチャン・ルコルニュ氏が10日、フランスの首相に就任した。予算削減への反発が渦巻く中、野党を巻き込み国の債務抑制という困難な課題に取り組む姿勢を示した。
前内閣で国防相を務めたルコルニュ氏は、この2年で5人目の首相だ。直近の2人の首相はいずれも、ユーロ圏最大のフランスの財政赤字を大幅に削減する予算案を提出したことで、退陣に追い込まれた。
ルコルニュ氏は、退任したバイル前首相との引き継ぎ式で「変化が必要だ。確かに、野党との協力については、より創造的で、技術的かつ真剣になる必要がある。だが形式や方法だけでなく、内容においても抜本的な変化が必要だ」と語った。

フランスのルコルニュ新首相(左)とバイル前首相
Photographer: Benjamin Girette/Bloomberg
フランスでは10日、草の根運動「ブロコン・トゥー(Bloquons Tout、すべてを止めよう)」抗議活動を行った。多くの学校や交通機関に影響が出て、数百人が逮捕されている。労働組合も、前政権の緊縮予算案に抗議し、18日に大規模なストライキを計画している。
投資家は政治・財政の不確実性を受けてフランス資産を売却しており、借り入れコストは欧州他国と比べ上昇している。10日、10年債のドイツ債に対する利回り差(スプレッド)は、約82ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となっている。8月時点の約65bpから上昇し、バイル氏が信任投票を呼びかけた時よりも高い。

調整
前任者同様、少数与党を基板とするルコルニュ新政権が2026年度予算を成立させ、内閣不信任を回避するには、左派か右派のいずれかから支援を得る必要がある。
政治的行き詰まりを打開するため、マクロン大統領は閣僚人事を決める前に、ルコルニュ氏に予算案について議員と協議するよう指示した。ルコルニュ氏は、10日午後から各政党の党首と会談を開始し、今後数日中に労働組合とも会談すると述べた。
極右・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏は、ルコルニュ氏を「マクロン主義の最後の切り札」と呼び、新たな議会選挙は避けられないと述べた。
2025年度予算案の議会通過を支援した社会党議員らは、新政権への正式な参加を再び拒否しているが、新首相に政策について助言することは受け入れる姿勢だ。

セバスチャン・ルコルニュ氏がフランスの新首相に就任した
Source: Bloomberg
財政赤字
ルコルニュ氏にとっての最優先課題は、財政赤字の削減方法だ。妥協点を見出すためには、前任のバイル氏が公約した、財政赤字の国内総生産(GDP)比を今年の予想値5.4%から26年までに4.6%に削減するという目標の達成ペースを、遅らせる必要に迫られる可能性がある。
フランスの財政状況を警戒する投資家たちは注視している。ムーディーズ・レーティングスは9日の声明で、フランス経済と財政がここ数カ月で予想を上回る成果を上げた一方、現在の不確実性は「信用格付けにマイナス」だと述べた。
12日には、フィッチ・レーティングスがフランスの信用力評価を更新する予定だ。
ムーディーズのアナリストは「次期首相と政府が、フランスの高い財政赤字を削減する予算案で合意を仲介できるか、少なくとも2026年に同水準を維持できるかは不透明だ」としている。
原題:Macron’s New Premier to Face Protests on First Day in Office (1)、France’s Premier Takes Conciliatory Tone in Bid For Budget Deal(抜粋)
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