米国債市場では弱気な見方が勢いを増し、5日の米雇用統計発表を控え、危険度が高まっている。雇用統計の数字次第で、米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月の会合でどこまで積極的に利下げに動くか市場の見解が定まることになりそうだ。

  JPモルガンの米国債顧客調査によれば、9月2日までの1週間で、過去5年で最も大きな弱気ポジションへのシフトの一つとみられる動きが起きた。米国の財政不安を背景に30年国債利回りが5%に迫る中で、売り持ち(ショート)ポジションは2月以来の高水準に達した。

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  これらのポジション設定は、一連の予想を下回る経済指標を受け、ハト派のFOMCと利回り低下に傾いていた従来の見方から離れるもので、8月の雇用統計が試金石となる。

  非農業部門の雇用者数がエコノミスト予想の7万5000人を著しく下回る結果になれば、より大幅な利下げの正当性を裏付けると受け止められ、弱気投資家にポジションの再調整を迫る圧力が高まりかねない。

JPMorgan Clients See Rapid Weekly Shift to Short Positions | Week's move to shorts positions among biggest in last 5 years

 

 

  アルファシンプレックス・グループのチーフストラテジスト、キャスリン・カミンスキー氏は「悪いデータが局面を変えるほど十分得られる場合、ショートエンド(短期ゾーン)の利回りの下方ブレークもあり得るだろう。労働市場がわれわれの想定より少し悪いことを伝える契機になる可能性がある」と指摘する。

  スタンダードチャータードのG10通貨リサーチのグローバル責任者スティーブン・イングランダー氏は、雇用者数の伸びが4万人に届かなければ、市場は50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げに向かうと分析。「利下げの可能性を完全に排除するには、非農業部門雇用者数が13万人以上増加し、上向き改定を伴う必要がある」と認識を示した。

  より短期の国債とより長期の国債との利回り格差は最近数週間で拡大し、投資家は景気減速を示すデータと財政不安の両方を比較検討している。7月の米求人件数が予想より弱い数字となり、今月のFOMC会合での0.25ポイント利下げがほぼ完全に織り込まれたことで、米金融政策への期待をより密接に反映する2年国債利回りは3日、5月以来の水準に低下した。

  一方、SEIインベストメンツの債券投資運用責任者ショーン・シムコ氏によれば、最近の弱気ポジションは、成長減速の兆候を例外的な動きと捉えるトレーダーの存在をうかがわせる。

  「強い数字が出れば、弱い数字の場合より速いペースで利回りを押し上げるだろう。数字が極めて弱い場合は話が別だ」と同氏は予想した。

 

原題:Bearish Treasuries Bets Grow as Traders Brace for Key Jobs Data(抜粋)

(市場関係者の見解を追加して更新します)

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