東京近郊で住む場所を決める際に重要なことは何か。不動産事業プロデューサーの牧野知弘さんは「東京に無数に張り巡らされている鉄道路線にはそれぞれイメージがある。西や南に伸びる路線は特にイメージが良く、不動産会社の社員もよく住んでいる」という――。


※本稿は、牧野知弘『不動産の教室』(大和書房)の一部を再編集したものです。



「24時間戦えますか」は過去の話

平成バブルの絶頂期である1989年11月。三共(現在の第一三共)の栄養ドリンク「リゲイン」のCMソング「勇気のしるし〜リゲインのテーマ〜」を時任三郎が勇ましく歌い上げ、大流行しました。その歌詞は当時の日本の活況を物語るものでした。


「黄色と黒は勇気のしるし、24時間戦えますか」で始まり「アタッシュケースに勇気のしるし、はるか世界で戦えますか」と気分を高揚させ「ビジネスマン、ビジネスマン、ジャパニーズ・ビジネスマン」と叫ぶ、現代ではありえない歌詞です。


朝のピーク時に駅を歩くサラリーマン=東京、品川、2013年10月23日

写真=iStock.com/rweisswald

※写真はイメージです


この時代から30年以上が経過、干支が3周する間に日本社会は大きく変わりました。


特に変わったのが働き方です。私は大企業サラリーマンを離れて長くなってしまいましたが、先日、友人の大企業社員(人事部)から聞いた話では、以下のような状況があたりまえになったとのことで、少々驚かされました。


◆転勤を打診したら拒否された

◆ある大きなプロジェクトが成功したので部長が夜、部員の慰労会を開くと言ったら、部員たちから「それって残業代は出るのか?」と聞かれた

◆昼間に緊急の打ち合わせが入ったのでお弁当を注文してランチミーティングをしようとしたら、担当者から「残業時間にしてよいですよね?」と確認された

◆部下を叱るときには、上司はまず「自分が怒ってはいない」ということを宣言し、「なぜそうなったかを一緒に考えよう」と言わなければならない


仕事第一から趣味・家族第一の街選びへ

このように時代の変遷とともに働き方も変わります。


そして価値観が変わることは住まい方にも影響を与えるようになります。


会社で過ごす時間が短くなり、社内での濃い人間関係を築くことを拒否する現代人は自分の時間を大切にします。


そして彼らは自分の趣味や関心事を大切にする、また家族を第一に考えて生活するための街選びを行うようになってきています。


こうしたニーズを確実に受け入れるには、これまでの通勤時間ファーストの街ではなく、生活するのにいかに快適であるかが、住宅選びの大きなポイントになってきています。


街がそこで生活する人にとっていかに魅力的であるかが問われる時代になったということは、街と街の間で格差がついていくことを意味しています。


街の魅力は生活するのに楽しいという要素だけではありません。では東京のどこに住むのが良いのかをみていきましょう。


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