「Android」には、完全なテキストベースの「Linux」環境を実行できるターミナルアプリが存在する。このアプリは、Androidの「開発者向けオプション」機能から有効化でき、ユーザーはLinuxコマンドやSSHなどを実行可能である。

 しかし、Googleの視点から見ると、それだけでは十分とは言えなかったようだ。

 にもかかわらず、年次の開発者向けイベント「Google I/O」で、LinuxターミナルアプリについてGoogleが一切言及しなかったのは、少々不可解である。ただ、その沈黙の裏では新たな動きがあり、Googleが開発者向けに新しい形のLinuxターミナルアプリをリリースしようとしていることが示唆されている。

 この新しいターミナルアプリでは、開発者がAndroidデバイス上で直接Androidアプリを構築できるようになる見込みだ。従来は、デスクトップOS上でエミュレーターを使って開発する必要があったが、これは大きな転換点となる。

 新ターミナルアプリは、「Android Virtualization Framework」を活用し、仮想マシン上で「Debian」イメージを起動する仕組みとなる。これにより、開発者は必要なツールを使ってネイティブアプリを構築できる、完全なLinux開発環境が提供される。

 ただし、統合開発環境の「Android Studio」はARMベースのCPUに対応していないため、Androidデバイス上のLinux環境では動作しない。この問題を解決するには、GoogleがLinux版のAndroid StudioにARM対応を追加する必要があるだろう。

 さらに、Android Authorityによると、7月末にリリースされたAndroidのCanaryビルドには、LinuxのGUIアプリのサポートが含まれているという。記事によれば、「Pixel 8 Pro」上で「Chromium」「GIMP」「LibreOffice」など複数のGUIアプリが実際に動作したとのことだ。

 つまり、Googleは開発者がAndroidデバイス上で直接アプリを作成・構築できるようにするだけでなく、Linuxのグラフィカルアプリ、さらにはゲームまで実行可能にしようとしている。Android端末を外部モニター、マウス、キーボードに接続して使うことを想像すれば、その可能性は非常に広がる。

 この取り組みは、Googleが進めるAndroidと「ChromeOS」の統合にも関係している可能性があり、従来のデスクトップユーザーやパワーユーザー、ゲーマーに訴求するアプリを開発できる統合プラットフォームの構築につながるかもしれない。

 なお、この機能がいつ正式に展開されるかは明らかになっていないが、まずはPixelデバイスに導入されることになるだろう。

提供:Jack Wallen/ZDNET
提供:Jack Wallen/ZDNET

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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