公開日時 2025年07月19日 05:00

燃油高直撃、生活苦に拍車 長崎・五島列島 離島支援延長、候補者に訴え
長崎県五島市・奈留島の港で、本土向け鮮魚の出荷作業に追われる漁協組合員ら=7日

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琉球新報朝刊

 物価高に加え、燃油の高騰が本土との間の輸送コストも直撃し、全国的な生活苦の「縮図」(参院選候補者)とも言える離島経済。島民の生活を支える“命綱”になっているのは、離島支援のための特別措置法に基づく交付金だ。再来年に期限を迎え、離島の基幹産業である農水産業を営む人々からは「延長されないとやっていけない」との悲痛な訴えが相次ぐ。(1面に関連)
 「暑かねえ」。7月7日午前、長崎県の五島列島にある離島・奈留島(五島市)。港では真っ黒に日焼けした人たちが、本土向け鮮魚の出荷作業に追われていた。炎天下、水揚げされたイサキやレンコダイを箱詰めし、フェリー会社のトラックに運びこんでいく。
 奈留町漁協の大久保金政組合長(63)は「昔は重油1リットル当たり80円台が採算の取れる限度だったのに、ここ数年で100円を超え、先月は120円台になった」と声を落とす。漁に出ない人も増えたという。
 政府は、地理的に重要な離島への経済支援などを目的に2017年に施行された特措法に基づき、人口が著しく減少している8都道県の71島を「特定有人国境離島地域」に指定した。農水産品の出荷や飼料の仕入れなど、本土との間の輸送費を国と自治体が最大8割補助するほか、事業拡大のための設備投資も助成対象だ。
 奈留島では水産物の多くをフェリーで長崎市に輸送している。大久保さんによると、輸送費は交付金頼みの状況だ。だが同法は時限立法で、27年3月末に期限を迎える。
 「本土と平等に競争できなくなる」と危惧するのは、福江島(五島市)で繁殖用の牛を飼育する野口兼幸さん(64)。生まれた子牛を、主に島外から買い付けに訪れる農家に販売している。
 ここ数年で飼料代が月10万円分ほど増加し、台所事情は苦しいが、顧客側も物価高に直面しており、子牛の買い取り価格は下落しているという。交付金の廃止まで重なれば「とうとう牛が売れなくなる」と懸念する。
 長崎の離島に住む自民党員は、島民が困っているのに「参院選候補者の姿を見かけない」とこぼす。「全県選挙で(離島まで)回らないのも無理はない」としつつ「どの党も応援する気になれない」と本音を漏らす。
 宇久島(同県佐世保市)で水産加工物を製造・販売する中村友義さん(62)は、人口減で島内の消費が落ち込む中、販路の「3分の2が島外になった」と交付金のメリットを強調する。離島支援策の重要性は島民の暮らしを熟知する政治家にしか分からないとして「島に足を運んで話を聞くことから始めてほしい」と訴えた。

 

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