2025年6月24日 午前7時30分
【論説】福井県の林業の施策方針を示す「ふくいの森林・林業の未来を切り拓(ひら)く基本計画」が策定され、本年度から5年間の計画期間が始まった。県内の人工林が本格的に伐採・利用する主伐期を迎えていることに伴い、持続可能で収益性の高い「稼げる林業」の実現を掲げたことが大きな特徴だ。
福井県の森林は県土面積の74%を占める約31万ヘクタール。そのうち、林業に活用される人工林は約12万2千ヘクタール。杉林が9割を占め、柱などとして利用可能とされる、植えてから46年を超えた人工林が7割となっている。今後、これらの木材の本格的な伐採、出荷の時期を迎えるが、林業を取り巻く環境は厳しい。
木材価格(スギ中丸太)は、1立方メートル当たり3万6500円だった1980年をピークに、安い輸入材に押されて低迷。木材供給が逼迫(ひっぱく)し、世界的に価格が高騰した2021年以降の「ウッドショック」の影響で、一時持ち直したものの、23年時点で1万2800円まで下落した。大きな需要先が見込める新築住宅の着工数は減っており、床面積も減少している。
このような状況を背景に策定された基本計画では、施策の方向性として「稼げる林業」「山村地域の活性化」「災害等に強く、公的機能を発揮する森づくり」を掲げた。中でも稼げる林業実現に向けた施策に重きを置いている。伐採や造林などの作業の低コスト化、事業量の増加に対応する人材の確保と育成、原木の価値に応じ安定した市場の形成と付加価値の高い製品生産による所得増を進めるとしている。
施策の中で喫緊の課題としてスピード感を持って取り組まなければならないのは人材の育成と確保だ。これまでの間伐期とは異なり、主伐期を迎えた森では、木を伐採すると同時に次の世代に向けた造林という作業が必要になり、より多くの従事者が必要になる。
県産材活用課によると23年の県内の林業従事者数は335人。16年に開校した「ふくい林業カレッジ」等の施策で、毎年30人前後の新規就業者がいるものの、同数程度の離職者がおり従事者数はほぼ横ばいだ。
林業の活性化は、地域に活力をもたらし、持続的に人の手が入ることによって自然災害の抑制など、森林の公的機能を維持することにもつながる。人材確保・定着には、多様な人が安心して働くことができる環境づくり、作業効率化による生産性向上、収益性の拡大が必要で、いずれも滞ることなく、同時並行で進めなければならない。
