
今年植える金時草の苗を見つめる永森貴登さん=金沢市上山町で
目標2トン「色も形もきれいに」 高齢化や後継者不足など農業を取り巻く環境が厳しい中、今シーズンの栽培が始まった加賀野菜の金時草を育てる兼業農家の女性が金沢市にいる。就農3年目を迎えた同市石引の永森貴登(いと)さん(49)。JA金沢市によると市内に5人いる金時草組合・部会員のうち最も若く、唯一の女性。今年は「本格的に出荷したい」と作付面積を大幅に増やし、2トンの出荷目標を立てている。(谷口大河)
湯涌地区の上山町。標高230メートルほどの山あいにある農地で、永森さんは金時草を育てる。露地だけでなく、通年で収穫できるようビニールハウスでも栽培。ほぼ毎日通い、水やりや剪定(せんてい)などの世話をする。作付面積は昨年4アールで、今年は7アール。将来的には30アールまで増やしたいという。
3日には今シーズン植える苗をJAの職員から受け取った。収穫は7月半ばから11月までを見込み、JAを通じて東京の市場に出荷される。
2020年に同町の古民家を購入した永森さんは、地主から農地を借りられると聞き、以前から関心があった農業への挑戦を決めた。22年から金沢農業大学校で研修を受け、栽培技術や経営を2年間学んだ。
研修中に育ててみた野菜の一つが金時草だった。「標高が高くて昼夜の寒暖差があるから、きれいな赤紫色が出た。この土地で育てるのに向いていると思った」と振り返る。挿し木で増える姿に生命力の強さも感じたという。金時草農家の大先輩である西佐一さんに師事し、23年に就農。24年にJA金沢市花園金時草共販組合の一員となった。
市内では同組合に西さんと永森さん、JA金沢市砂丘地集出荷場金時草部会に3人が所属し、金時草を育てている。永森さんは「手間をかけるほどおいしく、きれいに育ってくれる。袋詰めは大変だけど、葉は重くないので女性も育てやすいと思う」とPR。「色も形もきれいな金時草を作れるよう、試行錯誤していきたい」と意気込んだ。
栽培農家 30→6戸に 金時草はキク科の多年草で、和名は水前寺菜。葉の裏面が「金時芋(きんときいも)」に似た赤紫色をしているため、石川では金時草と呼ばれるようになったとされる。ゆでると独特のぬめりが出る。
金沢市で栽培され、市民に親しまれる野菜として、市農産物ブランド協会が1997年に「加賀野菜」として認定した。
市農業センターによると、認定時の農家(主にJAの金時草部会員)は30戸で、栽培面積は350アール、出荷量は60・38トンだった。2024年度では農家6戸、栽培面積は47アール、出荷量は7・15トンにまで減っている。
