2期目の大統領就任から4カ月余り。世界中がトランプ氏の政策に翻弄されている。多様性などの見直し、世界各国への関税措置……。当事国であるアメリカでは、全米でトランプ氏の政策に反対するデモも起きている。そんな中、ショート動画SNSのTikTokを使って、怒りや不満など自身の思いを発信するアメリカ市民が増えてきた。彼らはどんな状況にあり、どう考えているのか。そんな彼らに直接尋ねてみた。(文・写真:ジャーナリスト・横田増生/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「関税を支払うのは米国民です!」
今年4月、ニューヨーク州マンハッタンに拠点を置く玩具メーカー・イーブーの社長であるミア・ガリソンさん(62)は初めてTikTokに登録し、声を上げた。
「関税を払うのは中国ではありません。輸入元である私です! 関税は中国ではなく、私たちアメリカ人を罰しているのです。私たちのような中小企業は、今年のクリスマス商戦を迎える前に倒産するかもしれません」
同社は創業30年、子供用のパズルやドミノ、カードゲームなどを作ってきた。年商は約1000万ドル(約14.5億円)、従業員は20人。玩具の生産の9割以上は中国の工場に委託している。4月10日、トランプ政権は直前まで20%だった中国製品に対する関税を145%まで引き上げた。
トランプ氏は大統領選中も含め、「関税は相手国が支払う」という事実と異なる説明を繰り返し行ってきた。他国に高い関税をかけることは他国を罰し、アメリカが潤うことにつながる、というのがトランプ氏の主張だ。
5月12日、ベッセント財務長官は米中双方が「相互関税」を90日間一時停止し、関税を115%引き下げると発表した。ただ、5月初旬、ガリソンさんの取材時点ではまだ145%の関税措置は有効だった。Zoomの画面越しにガリソンさんはこう説明した。
「10万ドル分の製品を詰めた海上輸送コンテナが、中国からアメリカの港に到着したとしましょう。この時、145%分の14.5万ドル分の関税を私がアメリカ政府に支払わなければ荷物を陸揚げすることはできないのです。私の払った関税が、アメリカの国庫に入るのです。多くのアメリカ人が、こんな単純な事実を分かっていないことに驚いています」
4月に20人いたという従業員のうち3人を5月には解雇した。
ガリソンさんの投稿には反論も来る。製造業のアメリカ回帰こそが狙いであり、なぜアメリカ国内で玩具を製造しないのか、と。だが、ガリソンさんはこう反論する。
