主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議に参加したベッセント米財務長官は、公の場で目立った言動を控えていた。だが長官は舞台裏で顕著なインパクトをもたらしたと、カナダ西部アルバータ州バンフで開かれた会議の複数の参加者が明らかにした。
それによれば、ベッセント長官は重要課題で協力することができるとの印象を他のG7諸国の財務相らに与え、貿易や安全保障に加え社会問題などでトランプ米大統領の過激な言動が引き起こした波紋を和らげることになった。

ベッセント米財務長官
Photographer: Pete Kiehart/Bloomberg
今週早い時点では、米国はトランプ政権の優先事項に合致する場合にのみG7共同声明を支持する方針だと、事情に詳しい関係者が明かしていたものの、22日の声明発表まで普段通りの雰囲気が維持されたという。
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関係者の話では、21日夜にレストランで公式ディナーに臨んだベッセント長官は、くつろいだ様子で幾つかジョークを飛ばし、他の参加者の笑いを誘う場面もあった。レセプションに出席した欧州の参加者は、米国が「部屋に戻って関与している」といった感覚を抱いた。
2月に南アフリカで開かれた20カ国・地域(G20)の外相会合と財務相会合は、ルビオ国務長官とベッセント長官がいずれも欠席。ルビオ長官は3月にカナダ東部ケベック州シャルルボワで開催されたG7会合には参加したが、幾つかのグループイベントには加わらなかった。
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ドイツのクリングバイル外相はルビオ長官に関し、「私たちが個人的なレベルでうまくやっているという事実は、間違いなく困難を伴うであろう政治的議論に向けた良い土台となる」と述べるとともに、「さらに話し合うことにわれわれが合意し、彼が私をワシントンに招待したという事実は、会談がそれほど悪くなかったという兆しだ」との認識を示した。
カナダのシャンパーニュ財務相も22日の閉幕に当たっての記者会見で同様に前向きなトーンを示した。「私たちはうまくやっている」とし、「多くの問題について議論した。G7の全ての同僚が財務長官の貢献を歓迎したことを話しておきたい。サプライチェーンの強靭(きょうじん)性に関する議論の際は特にそれが当てはまる」と語った。

G7財務相・中央銀行総裁会議の参加者(5月21日、カナダ西部アルバータ州バンフ)
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米財務省報道官は、ベッセント長官の会談は快適で建設的だったと述べ、同省として相互の関心事項について今後も全てのG7パートナーとの関与を楽しみにしているとコメントした。
カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は記者会見で、ベッセント長官が3日間全ての討議に出席したことを心強く思うと言明。「彼は非常に積極的に関与し、多くの場面に加わった。雰囲気は協力的で一体感があった。しかし、まだ取り組むべき課題は残っている」と話した。
こうした前向きな雰囲気にもかかわらず、トランプ政権の関税措置は米国の長年の同盟国の怒りを招いており、一部の参加者は先月の米株式、国債、ドルの下落が、政権に攻撃的姿勢の後退を促したとみている。
ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁は「金融市場の崩壊からほど遠くないと感じることもあった」とバンフで発言。「4月のメッセージが非常に強力だったため、関係者たちにしっかりと伝わった」とし、「だからこそ、ここでの会談は間違いなく成功だったと言える。そこまでは期待していなかった」と語った。同時に「通常に戻りつつあると考えるのは誤りだ」とも述べた。
シャンパーニュ財務相は、非公開会合で米関税政策について議論があったと説明。「ただ、今後どのような道を取ることができるのか、そして過剰生産能力や非市場的慣行といった各国経済に影響を与えている他の世界的課題に対して、どこで共通の立場を見いだせるのかについても非常に建設的な議論が行われたと言える」と語った。
原題:Bessent Wins G-7 Partner Plaudits in First Conference Abroad (1)(抜粋)
