観光庁は9月27日、高付加価値旅行者の地方への誘客のため集中的な支援を行う「モデル観光地」に、山形と佐渡新潟、富士山麓の3地域を追加選定したと発表しました。

インバウンド旅行者の中でも消費単価が高い傾向にある高付加価値旅行者を地方に誘客するにあたり、総合的な施策を集中的に講じるモデル地域として選ばれているものです。

本記事では、今回追加選定された3地域の観光資源やインバウンドに関する動向について整理するとともに、高付加価値旅行が注目されている理由を解説します。

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高付加価値旅行の「モデル観光地」に3地域が追加、計14地域に

観光庁は2023年3月に「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり モデル観光地」として、集中的に施策を講じる11の地域を選定しています。


東北海道エリア
八幡平エリア
那須及び周辺地域エリア
松本・高山エリア


北陸エリア


伊勢志摩及び周辺地域エリア


奈良南部・和歌山那智勝浦エリア


せとうちエリア


鳥取・島根エリア


鹿児島・阿蘇・雲仙エリア


沖縄・奄美エリア 

今回はこの11地域に、


山形エリア
佐渡・新潟エリア
富士山麓エリア

の3地域が追加され、全国のモデル観光地は合わせて14地域となりました。 

関連記事:1回の旅行消費額100万円以上!「高付加価値旅行者」の誘客に向け、11のモデル観光地を選定 観光庁

高付加価値旅行者とは

高付加価値旅行者の定義は、旅行消費額100万円以上/人の訪日外国人旅行者です。高付加価値旅行者の数は、2019年時点で訪日旅行者全体の約1%(32万人)に過ぎないものの、消費額の約14%(6,700億円)を占めています。

しかし高付加価値旅行者は大都市圏での買物などの消費が多く、地方での消費が少ない傾向にあります。そこで観光庁は「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりアクションプラン」を定め、高付加価値旅行者の地方への誘客に着手しました。高付加価値旅行者に訴求力のある魅力的なコンテンツ、宿泊施設、ニーズを満たす人材の確保などの取り組みや整備支援を行っています。

高付加価値旅行が注目されている理由

観光庁は、訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進というページの中で、「多様な客層を獲得する観点からも、今まで取り込めていない高付加価値旅行者への働きかけを強めることが重要」と呼びかけています。

それに伴い、消費額を増加させる取り組みを実施するとともに、地方への誘客促進を重視していく方針です。高付加価値旅行者による旅行消費は、地域の環境産業をはじめとした多様な産業にも影響し、地域の活性化につながります。

高付加価値旅行者が観光地の自然体験・文化消費に興味を持つことで地域の自然、文化、産業などの維持・発展につながり、地域雇用の確保、所得の増加、地域内循環が生まれることで地方の活性化にも寄与します。

旺盛な旅行消費を起点に多様な経済効果が波及することから、インバウンド戦略において高付加価値旅行者の誘致は重要な柱になるといえます。

モデル観光地に追加された3地域の観光資源・インバウンド動向

今回、モデル観光地として選定された3地域とコンセプトは以下の通りです。


山形エリア:雄大な自然と山岳信仰に由来する固有の精神文化
佐渡・新潟エリア:越後山脈と交流の海・日本海がもたらした、今も息づく日本の原風景
富士山麓エリア:世界遺産 富士山が誇る自然と富士山信仰に基づく文化資源

新たに認定された3つのエリアの観光資源やインバウンドに関する動向について整理していきます。

1. 山形エリア

美しい自然やスノーリゾート、温泉に恵まれている山形県は、訪日外国人のうち大多数を台湾人が占めている点が特徴です。観光地としては、大正時代ならではの風情ある街並みが感じられる「銀山温泉」や、松尾芭蕉が歌を詠んだ場所として知られる「立石寺」が人気を集めています。

山形県は2020年度からの5年間にわたる観光振興施策として「第2次おもてなし山形県観光計画~beyond2020~」を策定。魅力的な観光地域づくりや効果的な情報発信といった基本的施策のほか、ICTやデジタルマーケティングを活用してインバウンド拡大の加速化を狙うなど積極的に外国人観光客の誘致を行っています。

結果として、山形県の調査によると、2023年における外国人旅行客受入延人数(宿泊者数+立寄者数)は過去最高の約40万人を記録しました。今回のモデル観光地登録に伴い、さらなるインバウンド誘致や消費額の拡大につなげることが期待されます。

<参照>

山形県:山形県観光計画「第2次おもてなし山形県観光計画~beyond2020〜」

山形県:外国人旅行者受入実績調査

2. 佐渡・新潟エリア

「ガストロノミー(美食旅)」や「スノーリゾート新潟」など、県内の観光資源を生かした発信に積極的に取り組んできた新潟県。2024年に世界文化遺産に登録された「佐渡島の金山(さどのきんざん)」によって世界中から注目を集めています。

また近年訪日客にも人気を集めている、自転車による周遊「サイクルツーリズム」に着目した取り組みも。2024年9月に佐渡金山から長野県の金鶏金山、山梨県の湯之奥金山を通り、静岡県の土肥金山までを結ぶサイクルルート「中央日本四県サイクルルート」を設定しました。

新潟県を訪問する外国人観光客は東京から北陸新幹線を使って周遊する傾向にあることから、新幹線利用客へのさらなるアピールが鍵となりそうです。

関連記事:

3. 富士山麓エリア

日本を代表する観光地「富士山」への外国人観光客は増加し続け、周辺の河口湖エリアの土産物店や飲食店にも多大な経済効果を与えています。

一方で、オーバーツーリズムが富士登山道だけでなく周辺地域にもおよぶなど問題となっており、グローバル報道では「多すぎる来訪者が富士山の世界遺産のステータスを脅かしている」といった趣旨の報道も出ていたようです。

そのような問題に対処するため、2024年7月1日から登山規制・通行料の徴収といった富士山の保全と価値向上の取り組みを開始しました。

今後のさらなる課題として、増え続けるインバウンドの受け入れ体制の強化に加え、高付加価値旅行者を中心とする誘客施策、周辺地域の魅力発信による分散化などが挙げられています。

関連記事:【山梨県】富士山の登山規制・通行料の徴収 7/1から開始 今後は「富士山登山鉄道」構想も

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<参照>

観光庁:高付加価値旅行者の誘客に向けて集中的な支援等を行うモデル観光地3地域を追加選定

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