対米協議の担当閣僚に指名された赤沢亮正経済再生担当相は10日、トランプ米大統領が日本などへの上乗せ関税を90日間停止する方針を示したことを前向きに受け止めると述べた。
内閣府内で同日夕、記者団に語った。日本政府は関税への懸念を伝え措置の見直しを求めており、今回の発表を「前向きな動きという評価はできると考えている」と述べた。10%の基本税率や鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税については「われわれとしては強い懸念を伝え、強く見直しを申し入れるポジションに変わりはない」と強調した。
訪米日程については具体的に決まっていないとした。同日朝の取材では、米側と「早めに接触を心掛ける」と述べていた。夜の記者会見では、対米交渉について「外務省、経産省がハイレベルで対応しているが、現在、体制構築に向けた準備も進めている」と語った。
日米両首脳は7日に行った電話会談で、担当閣僚を置き、交渉に入ることを確認。石破茂首相は、側近の赤沢氏を対米協議担当に指名した。NHKは10日、赤沢氏が来週にも訪米し、米側で担当するベッセント財務長官と会談する方向で調整に入ったと報じた。ベッセント氏は今後数日中に日本、ベトナム、インド、韓国の当局者らと協議する予定だとの見通しを示していた。
ホワイトハウス高官によると、9日に上乗せ税率発動の対象となった中国を除く国・地域は、それ以外の国・地域と同様に5日発動の10%の基本税率の対象となる。鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税は現行水準の25%を維持する。
経済への影響を懸念
10日の経済財政諮問会議では、経団連の十倉雅和会長ら民間議員4人が、米国の対応が輸出・生産・設備投資に大きな下押し圧力となりかねないと警鐘を鳴らした。とりわけ、国内経済をけん引してきた自動車産業が生産減を強いられると、「悪影響が広範な産業に広がりうる」と懸念を示し、予算の着実な執行や、中小企業への資金繰り対策などの支援を求めた。
石破首相は同会議終了前のあいさつで、米国が上乗せ関税の90日間の一時停止を表明したとはいえ、10%の基本税率などの発動は「極めて遺憾」との認識を改めて示した。国内産業への影響を勘案し、「引き続き必要な支援に万全を期していく」と述べた。
与野党からは2025年度補正予算案の編成や減税など経済対策を求める動きも出ている。国民民主党の玉木雄一郎代表は10日、米通商政策の影響でスタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)に陥る可能性が高いとして、補正予算の編成や消費税の一律5%への引き下げを含めた機動的な財政・金融政策を林芳正官房長官に申し入れた。
玉木氏によると、林氏からは消費税減税を含めた財政的な対応や、補正予算の編成は考えていないという回答があったという。一方、公明党の斉藤鉄夫代表は同日の党会合で、米国の関税措置を受け、政府に対して「減税を柱とした包括的かつ効果的な経済対策」を早急に策定するよう求めていく方針を表明した。
日本市場は株価急騰
トランプ大統領による上乗せ関税の一時停止表明を受け、10日の日本市場はリスク資産への回帰が鮮明になった。日経平均株価は歴代2位の上げ幅となった。債券は10年債や先物が下落、円は対ドルで上昇した。
加藤勝信財務相は同日午前、参院財政金融委員会で、米政権の「一挙手一投足」で日本や金融・資本市場に「いろいろな影響が出てきている」とし、引き続き注視していきたいと語った。その上で、一連の関税措置が国内経済に与える影響を分析し、万全の対応を期す考えも示した。
(石破首相、赤沢再生相らの発言を追加し、更新しました)
