獅子は1960年に誕生した初代グランドセイコー以来、ブランドの象徴として裏蓋に刻まれ続けてきたモチーフだ。百獣の王の刻印には、“最高峰の腕時計を目指す”というグランドセイコーの揺るぎない意志が込められており、本作では“トーキョー ライオン テンタグラフ(Tokyo Lion Tentagraph)”というモデル名にもその精神が投影されている。
なかでも目を引くのが2023年の前作テンタグラフとは大きく印象を異にする、金属の塊を削り出したような荒々しい造形のケースだ。ヘアラインを基調としつつポリッシュとの巧みな磨き分けが施されたその表面仕上げは、素材の質感と重厚さを際立たせている。よく見るとベゼルとケースは2体構造となっており、この設計によって鋭角的なエッジの立った磨き分けが可能になっている。
さらに、獅子のたてがみが風になびく様子から着想を得たというユニークなダイヤルも印象的である。水平方向にランダムな幅で走る有機的なパターンの上に、多面カットが施されたアプライドインデックスが整然と配置され、ダイヤル全体に引き締まった力強さを与えている。各インデックスは凹型に切削され、その内部にはたっぷりとルミブライトが充填されている。極太の針とあいまって、暗所での視認性にも大いに期待が持てそうだ。
