
ホワイトハウスの大統領執務室で2月28日に実施されたトランプ米大統領(左)とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談は、険悪になりつつあった雰囲気にバンス米副大統領(右)がとどめを刺した。同日、ホワイトハウスで撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
[ワシントン 1日 ロイター] – ホワイトハウスの大統領執務室で2月28日に実施されたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談は、険悪になりつつあった雰囲気にバンス米副大統領がとどめを刺した。バンス氏はゼレンスキー氏に対して「大統領、失礼ながらあなたが米大統領執務室にやって来て、米国のメディアの前でこの件を訴えようとするのは無礼だと思う」と訴え、「この紛争に終止符を打とうとしているトランプ氏に感謝すべきだ」と直言した。
この会談ではゼレンスキー氏とトランプ氏の不和が公になると同時に、バンス氏がトランプ氏に代わって相手に食ってかかる「攻撃犬」としての役割を高めていることも示された。
米民主党は、ホワイトハウスがゼレンスキー氏に猛攻撃を仕掛けたと非難した。この会談について詳しい情報筋は、バンス氏の出席は「計画されたものではなかった」と明らかにした。
米中西部オハイオ州選出の元上院議員のバンス氏は、トランプ氏の忠臣として仕えるとともに、鋭い口調でトランプ氏を擁護するという立ち位置も確保した。
ある米政府関係者は「バンス氏が腕を見せつけたということだ。バンス氏は(トランプ氏の側近の)イーロン・マスク氏とは違う。トランプ氏の前に座ってゼレンスキー氏に挑んだことは非常に大きな出来事だった」とし、「バンス氏は大統領に助け船を出した。トランプ氏は普段自分がしているような対決を他の人々が進み出てやってくれるのが好きなのだ」と語った。
ホワイトハウス高官は、会談の雰囲気が変わったのはゼレンスキー氏がバンス氏に反論した瞬間だったと言う。
ロシアのプーチン大統領が2019年の停戦協定を守っていないと訴えたゼレンスキー氏は、バンス氏に対して「JD(バンス)、どのような外交について話しているのか」と問いかけた。
バンス氏はゼレンスキー氏を「大統領」と呼び、「私は、あなたの国の破壊を終わらせるような外交について話しているんだ」と言い返した。トランプ氏が激高し、ゼレンスキー氏が無礼であり、第三次世界大戦を賭けてギャンブルをしていると非難した後、バンス氏は「一度でも『ありがとう』と言ったことがあるのか」と追い打ちを掛けた。さらに、ゼレンスキー氏が24年の米大統領選で民主党候補だったハリス前副大統領の選挙運動をしたと反発した。
ゼレンスキー氏は昨年9月、バイデン前大統領の故郷である米東部ペンシルベニア州スクラントンに予告なしに立ち寄り、軍需工場を訪問していた。
バンス氏が声を荒げたと問題視したゼレンスキー氏に対し、トランプ氏は「バンス氏は声を荒げてはいない」と否定。その上で「君はたくさん話した。君の国は大きな問題を抱えている」と制した。
バンス氏は今年2月にドイツでのミュンヘン安全保障会議でも対決姿勢をあらわにし、欧州の指導者らが言論の自由を検閲し、移民を管理できていないと非難していた。
共和党のストラテジスト、ランス・トローバー氏は「バンス氏は大統領のアジェンダを明確にし、攻撃するのが得意で、それはトランプ氏がバンス氏を(副大統領に)選んだ理由だ」と説明した。
トランプ氏に近いリンゼー・グラハム上院議員(共和党)は「わが国のために立ち上がったバンス氏を非常に誇りに思う」と評価した。
報道陣が大統領執務室から退去させられた際、バンス氏はトランプ氏に近寄って腕をなでた。少なくともカメラの前ではゼレンスキー氏と握手することはなかった。
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