オーナーに貸し出した本棚の前で「本を通して、いろいろな人が心を寄せ合う場にしていきたい」と話す峠さん(左)と松浦さん(松江市で)
本棚の一部を有料で貸し出し、好きな本を置いてもらうスタイルの私設図書館が、松江市殿町にある。「『好き』を通して人と人が緩やかにつながれる、自己実現の場所を作りたい」と、市内在住の元教員の姉妹が開設した。店番を担うボランティアも誕生し、本を通じて様々な人が自分を表現する場となりつつある。(松浦彩) 島根県民会館前バス停から徒歩3分。3階建ての建物の1階にその図書館はある。「すきがあつまる みんなの図書館 たう」と書かれたドアを開けると、こぢんまりとした部屋の左右両側に白い棚が70個ほど設置されていた。 小説や花の図鑑に、子育てや毛糸で編んだ人形の作り方の本……。棚ごとに多様な本や小物が並び、それぞれの棚にオーナーらしさがにじみ出る。本を借りた人が感想を記した付箋が貼ってある棚もあった。
図書館を開いたのは、
峠(たお)
優子さん(56)と松浦みどりさん(51)姉妹。ともに特別支援を必要とする子どもたちを長年教えた元教員で、「ひとりひとりと、もっとじっくり関わりたい」と早期退職し、現在は、発達支援の教室「まなび
舎(や)
ぽっと」を市内で運営している。
2人は以前から、誰もが好きなときに足を運べる交流の場を作りたいと考えており、オーナー制の本棚がある私設図書館に行き着いた。オーナーは選書で自分らしさを表現でき、本の借り手は誰かの好きな本を手に取り、緩やかに他者と関われるからだ。 今年1月に開設した。オーナーは、棚の1区画(高さ33センチ、幅33センチ、奥行き38センチ)を1か月2000円(ハーフサイズは1か月1000円)で借りる仕組み。一方、館内の本は3週間で3冊まで借りることができる。オーナー以外でも登録料500円で同様に3冊まで借りられる。 オーナーの1人で、子どもの頃から本が好きだったという会社員(島根県出雲市)は「自分が夢中で読んだ本が、誰かの目に留まるかもと思うとワクワクする。人の好きな本を知ることもできておもしろい」とうれしそうだ。 施設名の「たう」は、時間の単位「タウ」のこと。相対性理論を解説する子ども向けのテレビ番組で使われていた言葉だ。番組ではタウに触れながら、個々人の置かれた状況によって時間の進み方が異なるとの説明があったといい、峠さんが「『人それぞれ』という、私たちが大切にしてきた考え方を表すぴったりの言葉があった」と名づけた。 松浦さんは「いろんな人がいてくれて成り立つ場所。ふと思い出したときに立ち寄れる場所として、長く続けたい」と話す。◇ 開館日は原則、水曜と金~日曜。開館情報などはインスタグラムで発信している。また、店番を担うボランティアも募集している。
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