交流証言者として中村さんの被爆体験を語る荒木さん(9日、長崎市の長崎原爆資料館で)交流証言者として中村さんの被爆体験を語る荒木さん(9日、長崎市の長崎原爆資料館で) 原爆の被爆者から体験を聴き取り、証言を受け継ぐ「家族・交流証言者」に、長崎県外の若手も参入している。佐賀県唐津市の看護師・荒木千尋さん(29)は今月、交流証言者としてデビューした。被爆者の高齢化で体験の継承が課題となる中、「若い自分だからこそ、伝えられるものがあるはず」と意気込む。(上山敬之)

 「目もくらむような光とたくさんの雷が一気に落ちたような大きな音が鳴り響き、そのまま意識を失いました」 今月9日、長崎市の長崎原爆資料館。荒木さんは、来館者を前に、中村一俊さん(2022年に88歳で死去)の被爆体験を張り詰めた声で語り出した。 生前の中村さんが語り部の時に使っていたイラストを示しながら、母親やきょうだいを失ったこと、水を求めながら亡くなった少年を目の当たりにしたことなどを約30分間にわたって語った。最後に「中村さんとの交流を通して、核兵器による悲しみを繰り返してはならないと強く強く感じた。核全廃は平和の原点」と述べると、大きな拍手に包まれた。 荒木さんは佐賀市出身で、被爆体験がある身内はいない。小学生の時に読んだ本で、原爆による黒焦げの遺体の写真に衝撃を受けたことが、戦争と平和に関心を寄せたきっかけだった。学生時代は原爆に関する本を読むなど平和について考えることが多かった。 看護師として病院で勤務しながらも、「せっかく学んだことを生かせないのはもったいない」との思いが芽生え、2019年から原爆資料館などでガイドを行う「青少年ピースボランティア」として活動を始めた。自分よりも年下の学生たちが平和の大切さを訴える姿に驚かされた。 活動を通じて「交流証言」の存在を知り、被爆者と対話する交流会に参加。自身の体験を「次世代のために」と訴える中村さんの姿に心を打たれ、交流証言者として継承することを決意した。 1 2

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