芳名録のレプリカに目を凝らす湯崎知事(手前)ら(広島市中区で)芳名録のレプリカに目を凝らす湯崎知事(手前)ら(広島市中区で) 広島市内で先進7か国首脳会議(G7サミット)が開催され、19日で1年を迎えた。平和記念公園(中区)では、各国首脳らが核軍縮などを議論した円卓、資料を展示する「G7広島サミット記念館」がオープン。皮肉にも園内の広島平和記念資料館では、米国の臨界前核実験を受けて「地球平和監視時計」がリセットされ、平和への希望と不安が交錯する一日となった。(岡本与志紀)

 記念館は県と市などでつくる広島サミット県民会議が設置し、各国首脳らが資料館で記した芳名録のレプリカなど計約100点を展示。ウクライナのゼレンスキー大統領が原爆死没者慰霊碑に献花する場面などの写真パネルも並ぶ。 記念館前でのセレモニーで、県民会議会長の湯崎知事や副会長の松井一実市長、G7サミットに関わった学生ボランティアら計9人がテープカットで開館を祝った。9人のうち、各国首脳らの慰霊碑への献花を手伝った中学3年生(14)は「展示を見て時の流れの速さを感じる。平和の実現のため『自分に何ができるのか』を考えるきっかけになれば」と話した。記念館は入場無料で、2030年末まで公開の予定。 一方、最後の核実験からの日数を示す地球平和監視時計は、資料館の石田芳文館長が「5日」(正午時点)にリセットした。21年9月に米国が実施した臨界前核実験から、今回の実験まで「971日」だった。 リセットは01年8月6日の時計設置以来、29回目。石田館長は、G7サミットの際に米国のバイデン大統領が資料館で、核兵器廃絶へ「共に進んでいきましょう」と芳名録に記したことに触れ、「あのメッセージの真意を疑わざるを得ない。核のない世界に向けた思いをもう一度思い直してほしい」と訴えた。「広島、長崎が伝えてきたからこそ抑止力に」池上彰さんトークショーでG7サミットを振り返る池上さん(広島市東区で)トークショーでG7サミットを振り返る池上さん(広島市東区で) ジャーナリストの池上彰さんが19日、広島テレビ放送(広島市東区)でトークショーに出演。「広島、長崎が核の恐ろしさを伝えてきたからこそ、それが抑止力になっている。これからも広島で何があったのか、伝えていかないといけない」と呼びかけた。 G7サミットでは、各国首脳と被爆者との対話が実現し、核軍縮・不拡散に焦点を当てた初の独立文書「広島ビジョン」を発表。一方、核抑止を前提とした内容に被爆者から失望や批判の声が上がった。池上さんも「核兵器をなくさないといけないということだけを言えばよかったのに、ちょっとがっかりした」と振り返った。 池上さんは、欧米など世界の若者が侵略や戦闘に心を痛め、反対の声を上げていることに触れ、「広島でも大学生たちが被爆の実相を伝えようと頑張っている。若い世代に期待したい」とエールを送った。

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