中国電力島根原子力発電所2号機(松江市)について、運転差し止めの仮処分を求めた島根、鳥取両県の住民ら4人による申し立てが却下された15日、住民らは広島高裁松江支部(松谷佳樹裁判長)の決定について「到底受け入れられない」と批判した。一方、中国電は12月を予定している再稼働に向けて安全管理への思いを新たにし、経済界からも再稼働への期待の声が上がった。仮処分の申し立てが却下され、支援者らに報告する住民ら(15日午前10時5分)=東直哉撮影仮処分の申し立てが却下され、支援者らに報告する住民ら(15日午前10時5分)=東直哉撮影 午前10時過ぎ、同支部から決定の交付を受けた住民2人はそのまま、裁判所前で待機していた約30人の支援者の前に姿を見せた。広げられた垂れ幕には「司法は住民を見捨てた」の文字。支援者が大きなため息をつき、しばらく黙り込んだ。

 弁護団の海渡雄一弁護士は決定の要旨を支援者に説明し、「原子力規制委員会がいいと言っているなら、裁判所は『それについて何も申しません』と言っているのに等しい内容だ」と批判。「極めて不当な決定」と怒りをあらわにした。 住民と弁護団はその後、松江市内の会館で記者会見を開いた。 決定では、住民側が「実効性がない」と指摘した避難計画について、事故発生の危険性を十分立証できておらず「前提を欠く」として実効性の有無の判断が示されなかった。大河陽子弁護士はこの点について、避難対象となる原発30キロ圏内で約45万人が暮らしているとし、「住民の生命・身体を見捨てる極めて不当な決定だ」と批判した。 また、三瓶山の大規模な噴火リスクについて「低い」とした中国電側の根拠が不十分だとする住民側の主張に対し、松谷裁判長は一部理解を示しつつも「全体として合理性のある判断だ」としており、海渡弁護士はこの点に触れて「問題点があると思うなら、原発は安全ではないはずで、止めないといけない」と非難した。「安全確保第一」中国電、思い新た中国電の記者会見で、広島高裁松江支部の決定について話す高見総務部長(いずれも松江市で)中国電の記者会見で、広島高裁松江支部の決定について話す高見総務部長(いずれも松江市で) 中国電側も午後3時から松江市内の島根支社で記者会見を開き、高見和徳総務部長が「安定的な電力の供給や、世界的な課題のカーボンニュートラル実現のため、安全を大前提とした原子力発電所の利用は不可欠なもの。再稼働に向けて安全確保を第一に安全対策工事を進め、信頼される発電所を目指す」とした。 丸山知事と、原発が立地する松江市の上定昭仁市長はともに「(裁判の)当事者ではない」とした上で、中国電や原子力規制委員会に対し、安全管理の徹底や厳格な審査を引き続き求めるコメントを出した。 経済界からは、今回の決定について好意的に受け止める声が相次いだ。 県経営者協会の久保田一朗会長は「妥当な判断だ」と歓迎。「原発が稼働しない中、円安も手伝って国の富が失われてきた。安定的な電力の供給源として、安全対策をした上で再稼働してほしい」と続けた。 島根経済同友会の松尾倫男代表幹事は「国と中国電力による安全対策がいっそう進められ、地域に信頼感を取り戻すとともに、地元経済界と環境対策に貢献するよう期待する」とコメントした。

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