開幕まで1年を切った2025年大阪・関西万博は、各国の豪華なパビリオンが並ぶ夢の舞台だ。でも、もっと身近な場所で、テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現を目指す人たちがいる。彼らを応援し、世界に発信するのが日本国際博覧会協会(万博協会)の「
共創チャレンジ
」だ。みんなで共に創る万博と、その先の未来。万博のもうひとつの“主役”たちの挑戦を紹介する。

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泉大津市・あしゆびプロジェクト 足は全身を支える土台――。その考えのもと、大阪府泉大津市が展開するのが、足指を鍛えて全身の健康づくりにつなげる「あしゆびプロジェクト」だ。2025年大阪・関西万博の会場で取り組みを披露する予定で、市健康づくり課は「万博でプロジェクトの効果を発信したい」と意気込む。「筋力レベルアップ教室」で足指のケアの仕方を学ぶ参加者たち(大阪府泉大津市で)「筋力レベルアップ教室」で足指のケアの仕方を学ぶ参加者たち(大阪府泉大津市で) 4月22日、市内のスポーツクラブで開かれた市の「筋力レベルアップ教室」で、約30人のお年寄りが足指のほぐし方や足裏のもみ方の手ほどきを受けていた。 トレーナーは「足裏から整えて、体のバランスを取れるようにしましょう」と呼びかけ、参加した男性(80)は「足がぬくもるし、指が床にちゃんとつくようになった」と話した。 足裏のアーチ構造が崩れると、膝の痛みや姿勢の悪化につながる。かかとに重心がかかる「浮き指」は高齢者の転倒の原因の一つでもある。
 足指の健康は幼い子どもにも重要だ。現代の子どもの約8割は、浮き指や
扁平(へんぺい)
足など、何らかの問題を抱えているとされる。泉大津市が市内の認定こども園の4~5歳児102人を調べたところ、およそ9割に浮き指がみられた。
鼻緒が足指の強化に効果があることから、市職員の中には草履で仕事をする人もいる(大阪府の泉大津市役所で)鼻緒が足指の強化に効果があることから、市職員の中には草履で仕事をする人もいる(大阪府の泉大津市役所で) 幼児から高齢者まで、健康の維持と増進には足指の強化が効果的だと市は考えた。18年6月にプロジェクトがスタート。足指でジャンケンの動きをしたり、5本の指で体重を支えたりする「あしゆび体操」を職員が考案。足指のトレーニングに役立つと、鼻緒のついた履物で歩くことを市民に呼びかける「1人1足運動」などを行ってきた。 大学と連携して効果の検証も行う。18年度に大阪府立大(現・大阪公立大)などと、足指の運動が加齢による心身の衰え「フレイル」の予防に効果があるかを調査。高齢者132人を対象に調べた結果、59.1%の人に足の握力の向上を確認し、足の親指と人さし指で挟む力も62.9%の人でアップした。 20~22年度には計約500人の市民モニターに、オーダーメイドの靴のインソールを配布。3か月間使ってもらい、足の変化を分析した。22年度には3割前後の人で浮き指の改善傾向がみられ、「足が疲れなくなった」「膝の痛みが軽減された」といった感想が寄せられた。 市は今後、16~64歳の青壮年期の人向けのパンフレットや動画を作るなど、全世代の足の健康を高めようと取り組んでいる。万博に向けて、世代ごとに足指プロジェクトの効果を目に見える形で発信していく構えで、同課は「健康分野に力を入れる泉大津をPRしたい」としている。(川口崇史)
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共創チャレンジ
=SDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指し、企業や大学、自治体などが身近な課題解決に挑む取り組み。一部は万博期間中に会場内で成果を発表できる。「参加型万博」を体現する活動で、3月末時点で1693件が登録されている。

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