幸田大師堂の再建を祝う法要でこれまでの経緯を説明する関係者ら幸田大師堂の再建を祝う法要でこれまでの経緯を説明する関係者ら 山口市の秋穂と秋穂二島の両地区を中心とする巡礼地「秋穂八十八か所霊場」の八十七番札所「幸田大師堂」が100年ぶりに再建された。解体前の建物はシロアリによる被害や雨漏りで著しく傷んでいたため、管理する地元の幸田自治会が寄付などを募って実現させた。周辺住民は修復した仏堂を地域の誇りとして次世代につなぐ覚悟を新たにしている。(小林隼)

 大師堂は関東大震災の翌年の1924年に建立され、堂内には弘法大師像や薬師如来像、千体地蔵が安置されている。新たな建物は20平方メートルの敷地に立つ小ぶりのものだが、屋根は従来と同じ曲線状の
唐破風(からはふ)
造りで、伝統的な外観に仕上げられている。
 2021年頃に修復を求める機運が高まり、自治会で対策を協議したものの多額の費用がかかることから一時は取り壊しも検討された。自治会の建物に行政が直接関与するのは難しいため、最終的にはネット上で資金を募るクラウドファンディングや自治会員の寄付で工事費1000万円を賄った。 再建工事は、市内で家具職人と大工を営み、伝統建築に詳しい重黒木孝治さん(55)に依頼。建築当時の風情を引き継ぐため、屋根の部材を再利用した木組み工法で、昨年10月から半年がかりで完成させた。重黒木さんは「100年前の姿を忠実に再現するのに苦心した」と振り返る。 5日に現地で再建を祝う法要が執り行われ、周辺住民ら約40人が出席した。秋穂八十八か所は1783年に四国から護符と土砂を持ち込んだのが始まりとされ、弘法大師の命日を中心に巡礼者が各札所を回る。自治会長の横沼良希さん(73)は「大師堂は参拝者を出迎える地域の誇り。次の100年に向けて住民一体となって守り抜きたい」と抱負を語った。

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