9日に開幕する新作ミュージカル「この世界の片隅に」で、昆夏美と大原櫻子がダブルキャストで主人公すずを演じる。こうの史代の同名漫画が原作で、太平洋戦争末期に広島市から広島県呉市に嫁いだすずの日常がつづられる。たびたび映像化されてきた。昆は、「出演が決まってから劇場版アニメを見た。割と淡々と進んでいくこの作品をどうミュージカルにするのかなと思った」と語る。ミュージカル「この世界の片隅に」で主演を務める昆夏美さん(右)と大原櫻子さん(4月15日、東京都江東区で)=永井秀典撮影ミュージカル「この世界の片隅に」で主演を務める昆夏美さん(右)と大原櫻子さん(4月15日、東京都江東区で)=永井秀典撮影 カギとなりそうなのが、アンジェラ・アキによる楽曲だ。卒業ソングの定番「手紙」を作詞・作曲したことで知られるシンガー・ソングライター。10年ぶりに日本での音楽活動を再開し、全編の楽曲を手がけた。「色で言うとすごく淡い色が似合う曲を作ってくださった。デモテープを聞いただけで自然に涙が出てきた。みんなで一緒に歌ったときに発せられるパワーがすごい」と大原。昆も「アンジェラさんが担当したことで、“ザ・ミュージカル”ではないポップス寄りな部分もある。お芝居の延長に楽曲がある感じで、これまでにない作品ができる予感がしている」と笑顔を見せる。

 脚本・演出は上田一豪。大原は時系列が交錯する作りに驚いたという。「原作では、最後の方ですずが右腕を失うというショッキングな場面が出てくるが、今回のミュージカル版では最初に出てくる。そこから過去に戻るので、演じる方は気持ちの切り替えが結構大変です」 2人は2020年、コロナ禍のため本格的な稽古に入る前に公演自体が中止となってしまったミュージカル「ミス・サイゴン」で、主人公キムにキャスティングされていた者同士。「1幕までしか稽古できなかったけど、相当仲良くなってました。昆ちゃんは大作ミュージカルにたくさん出ているし、芸に対する探究心がすごい」と大原が言えば、昆も「私は元々さくちゃんが歌う『ちっぽけな愛のうた』が大好きで、カラオケのレパートリーだった。会ってみたらとても感覚が鋭くてしっかりしている」とたたえる。 東京・日比谷の日生劇場で30日まで。その後、全国各地を巡演し、最終公演となる7月27、28両日は、呉市で上演される。2人は共に「緊張しているが、すずさんが見ていた呉の景色を見られるのかなと思うと楽しみ」とほほえんでいた。(電)03・3201・7777。

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