広島県の福山市立大(佐藤利行理事長兼学長)は、2027年に開設する理工系新学部の基本構想をまとめ、設置準備室を発足させた。地域や地元企業の発展、成長の原動力となりうる人材の育成を目的に「情報工学部情報工学科」を新設。定員は1学年80人で、地域枠や女性枠を設ける方針だ。(清水裕)

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福山市立大学福山市立大学 福山商工会議所や広島大などの13人を委員に、昨年10月に基本構想検討委員会を設置。3月までに4回の会議を開き、新学部に「デジタルものづくり」と「サイバーセキュリティ」の2コースを置くことを決めた。

 デジタル技術で業務を改善するDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速度的に進展する中、基本構想ではモデルデータ、情報通信ネットワークの知識と技術の習得、人材の育成と確保が全国的な課題と指摘する。 その上で、同市は多種多様な産業が集積する「ものづくりのまち」であり、地域に根ざす公立大の使命として「理工系学部へ進学を目指す地元高校生の受け皿となり、卒業生の地元定着の促進に取り組む」と強調。入試では、学校推薦などを設け、地元での就職を考える割合が高いとみられる同市の高校生を積極的に受け入れる方針だ。 新学部設置は、同市を含む備後圏域の都市機能強化、地域経済への寄与も目指す。市立大の市への経済波及効果は毎年度11億2000万円とみるが、教職員や学生に関わる需要、生産が誘発され、市内での就職などにより35年度に3億1000万円増の14億3000万円に上昇すると予測する。準備室の看板を掲げる佐藤理事長兼学長(右)(4月12日、広島県福山市で)準備室の看板を掲げる佐藤理事長兼学長(右)(4月12日、広島県福山市で) 将来的には修士、博士両課程の大学院も設置したい考えで、既存の教育学部、都市経営学部の入試のあり方も検討するという。設置準備室は今年度、教員の確保を進め、教育カリキュラムを具体化させる。佐藤理事長兼学長は「新学部設置を機に大学改革に取り組み、新しい市立大学に生まれ変わる機会にしたい」と話す。国際交流積極的に推進 佐藤理事長兼学長 佐藤理事長兼学長は、海外の大学と交流を図るなど国際化に注力する。人口約46万人の地方都市にある大学だが、「若者は海外で学んでほしい。国際交流の意識を強く持ってもらいたい」と言う。 国際交流協定校は2022年度までは、ハワイ大マウイ校など4大学だけ。昨年4月に広島大副学長などを務めた佐藤理事長兼学長が着任すると、教授らの人脈も活用。3月までに中国やフランス、ベトナムなどの8大学と覚書を交わした。 学生を送り出すだけでなく、広島で勉強したい留学生の受け入れにも力を入れる。産業界と連携を深め、就業体験も検討。佐藤理事長兼学長は「地元企業に就職してもらう仕組み作りも私の仕事」と語る。

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