山口県岩国市出身で知的障害がある刺しゅう作家・久米
文子(ふみこ)
さん(34)が、同市の華道家・蔵重
伸(のぶ)
さんとの共同作品を完成させた。10枚の刺しゅう作品を花を生けるようにボードに配置したアートだ。2人は久米さんの母校の県立岩国総合支援学校(岩国市)に作品を贈り、笑顔を輝かせた。(帆足英夫)
久米さんと蔵重さんによる共同制作の作品 久米さんの作品は、鳥、チョウ、花などの図柄や日頃の生活の中で紡いだ言葉を赤、青、黄といった色とりどりの糸で布地に縫って表現している。今回の作品は、久米さんの過去の作品群の中から蔵重さんが10枚を選び、縦116センチ、横91センチのボードにレイアウトし、壁掛け風に仕上げた。
華道家元池坊岩国支部長を務める蔵重さんは、障害者を対象にした華道教室を開いている。久米さんも指導を受けたことがあり、こうした縁で今回の共同制作が実現した。 久米さんは同県周南市のグループホームで暮らし、同市の就労継続支援事業所「夢ワークあけぼの」で制作の日々を送る。刺しゅうを始めたのは18歳の頃。施設職員に習ったことがきっかけで、たちまちのめり込んだ。 2019年度には障害のある芸術家を発掘する県の事業で、県内の優れた作家9人の中に選ばれた。今では年間の制作数は約300点に上り、県内外の店舗やインターネットで販売されている。
贈呈式で笑顔を見せる蔵重さん(左)と久米さん 久米さんの作品の魅力について、蔵重さんは「落ち着いた色のトーン。文ちゃんの心にある、何かずっしりとしたものが、そういう表現になっているのでしょう」と語る。 16日に同校で贈呈式があり、在校生に作品を贈った久米さんは、蔵重さんとともに笑顔で記念写真に納まった。
式には久米さんの父
慶典(けいすけ)
さん(68)も出席した。障害者の文化芸術活動の推進に取り組むNPO法人「つながるネット」の理事長を務める慶典さんは、「障害者と一流の芸術家がコラボレーション(共同制作)することで、芸術の新たな可能性を見つけていけるはず」と言う。
中根弘信校長(55)は「素晴らしい作品をいただき、ありがたい」と感謝した。作品は同校の玄関に近い廊下の壁に飾り、来校者が鑑賞できるようにするという。
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