文化放送「くにまる食堂」火曜パートナーの村尾信尚さん
日本テレビ系「NEWS ZERO」でメインキャスターを12年間務めた村尾
信尚(のぶたか)
さん(68)(関西学院大教授)が、今月から文化放送でラジオ番組に挑戦している。映像に頼らず言葉だけで伝える世界に四苦八苦しているようだが、取材会では、元財務官僚らしく混迷する日本経済に対し、厳しい“ホンネ”を次々と聞かせてくれた。(文化部 旗本浩二)
元「ZERO」キャスター、4月から文化放送レギュラー 「テレビでは時間が押すとすごくプレッシャーを感じましたが、ラジオでは思う存分語れる。心地よい空間が醸成されていると思います」
今月16日、3回目の番組出演を終えて記者の前に現れた村尾さんは、まさにラジオパーソナリティーさながらの滑らかな口調で語り出した。村尾さんが出演するのは、平日午前9時からのワイド情報番組「くにまる食堂」。同局は今期から「オトナのホンネ 文化放送」をキャッチコピーに掲げ、村尾さんも、パーソナリティーの野村邦丸さんの火曜パートナーとして、経済関連から社会問題まで歯に
衣(きぬ)
着せぬコメントを披露している。
「くにまる食堂」パーソナリティーの野村邦丸さん 「メインキャスターの時は中立性が求められたので、自分の意見でバイアスがかからないように気をつけていた。“パートナー”は本音を自由に時間の制約もなく言えるので、ストレス解消の場にもなるんですよ」。とはいえ、テレビでは図表を示して簡単に分かってもらえたものを音声だけで、しかも「ながら聴取」が当たり前の媒体を通して伝えるのは「独特の難しさ、奥深さがあり、もっと修業しないとダメ」と模索が続く。二つの「券」で日本は変えられる 村尾さんは岐阜県高山市生まれ。一橋大経済学部を卒業後、1978年に大蔵省(現財務省)入省。主計局主計官、理財局国債課長などを経て2002年に退官後、翌年、関西学院大教授となった。06~18年には「NEWS ZERO」メインキャスターを務め、日テレニュースの顔として知られた。 幅広い経験から現在最も関心を抱いているのは、気候変動と人口減少問題だという。「脱炭素化と(人口減を踏まえた)デジタル化は待ったなしだが、一番大切なのは消費者の行動だと思う」。取材会でそう強調した村尾さんは、持論である二つの“券”の活用法を解説してくれた。「投票券(=投票用紙)で政治を動かせるし、日銀券(=紙幣)で企業や社会を動かせる。日々の買い物は日銀券による投票行為だ。それで環境に優しい企業の製品を買うとか、保育所の整った企業の製品を買うとか。この投票券と日銀券があれば、どんな形にでも日本は変えられる。リスナーの皆さんの消費行動が、世の中を変える大きな要因になると訴えていきたい」戦後復興の原動力は「企業家のアニマルスピリッツ」
3回目の出演を終え、「ようやく自分のリズムがつかめてきた」という とはいえ、目の前の日本経済は、円安の長期化などで国力の低下が指摘されている。元財務官僚として何か処方箋はあるのか尋ねてみた。 「失われた30年とか言われていますが、一番大きな原因は国の政策に起因するところが大きい。バブルがはじけ、さらにコロナ禍で顕著になりましたが、どんどん国債を発行して財政で刺激して、日銀もどんどんお金を刷った。でも戦後、焼け野原の日本から瞬く間に経済大国になった時、日本政府がどれだけ支援したかというと、そもそも政府には財政的な余裕がなかったんです。そこにあったのは、企業家の皆さんのアニマルスピリッツ、やる気ですよ。本来、経済の原動力や国の強さというのは、それぞれの皆さんのやる気に大いにかかっている。ところが、自分でやる気を出して頑張らなくても、不平を言えば、国が助成金などを出してくれる。(日本経済が現状に至ったのは)これが一番大きな原因だと思います」 この手の話をすると「リスナーから非難メールが届くかもしれない」と首をすくめる村尾さんだが、今度は企業の開業率と廃業率を引き合いに出して続けた。 「主要先進国の中で、日本は開業率も廃業率も低い。これは人間の体で言えば新陳代謝が極めて低いということなんです。廃業率が低ければ(雇用の継続で)失業者も少なく、短期的にはそれでいいかもしれないが、要するに古い細胞が残り、結果的に新しい細胞が生まれてこない。詰まるところ生産性は低いままなんです。こうなってしまったのは、国債をいっぱい発行して、そのツケを子供たちに回していったからではないか。だから一回、お上を頼らないで自分の力でもう一回頑張ってみないと」「自分を鼓舞して誠実に答えていく」 その上でさらにホンネがぽろりと漏れる。「嫌がられるかもしれませんが、もう少し活を入れないといけないんです。そもそも人生ってやっぱり、そんなに甘いものじゃないし、努力して悩んで進むものだと思うんです。番組でもそんなことを言わせていただければいいし、それで批判されるなら、あえて受けて立ってもいい」と胸を張る。「リスナーとリアルタイムで意思疎通できるのがラジオのいいところ。瞬発力が問われますが、自分を鼓舞して質問には誠実に答えていきたい。とてもやりがいがあります」。テレビキャスター時代以上に“距離の近い”ご意見番となりそうだ。
![[テレビ] 円安日本に村尾信尚がラジオで活「人生そんなに甘いものじゃない、批判されるなら受けて立つ」 [テレビ] 円安日本に村尾信尚がラジオで活「人生そんなに甘いものじゃない、批判されるなら受けて立つ」](https://www.walknews.com/wp-content/uploads/2024/04/1713566545_20240416-OYT1I50163-1-1024x576.jpg)