東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故から15年を迎える2026年、福島県双葉郡の8町村(浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、川内村、葛尾村)を主要舞台としたアート企画「福島ビエンナーレ2026 Cinematic ∞Art」が展開される。会期は8月23日〜9月26日(一部会場は先行開場)。主催は福島現代美術ビエンナーレ実行委員会および国立大学法人福島大学芸術による地域創造研究所。

清戸迫横穴(国指定史跡)の彩色壁画 撮影:渡邊晃一

土地の歴史や自然文化資源を活用したアートプロジェクト

 2004年より県内各地で展開されてきた「福島ビエンナーレ」は、地域住民や産官民学の協働を通して、土地の歴史や自然文化資源を活用したアートプロジェクトを継続してきた。今回のメインテーマに掲げられた「∞(インフィニティ)」には、無限の広がりや人々の結びつき、双葉郡8町村および「双葉」の芽吹き、そして双葉町に所在する国指定史跡《清戸迫横穴》(7世紀前半)の壁画に描かれた渦巻・らせん文様に由来する「生命の循環」の意味が込められている。震災後の記憶のみならず、遥か昔からこの地に脈々と受け継がれてきた歴史や自然との関わりに光を当て、アートを通して追悼と復興への祈り、未来への希望を提示する試みだ。

吉田茉莉子《Look at me》(2025) キャンバスに油彩、蜜蝋、流木 86×90cm

 会場は、震災遺構の浪江町立請戸小学校や東日本大震災・原子力災害伝承館、とみおかアーカイブ・ミュージアム、かわうち草野心平記念館をはじめ、役場やコミュニティ施設、酒蔵、神社仏閣など地域に根ざした多様な拠点が対象となる。国内外から集うアーティストの新作や既存作に加え、草野心平や高村光太郎、宮沢賢治、棟方志功といった地域ゆかりの歴史的文化財・作品群も網羅され、総数約88点の作品群が提示される。

国内外からアーティストが集結

 参加作家には、伊藤有壱、岩根愛、栗原亜也子、鴻崎正武、長澤伸穂、萩原朔美、箭内道彦、渡辺晃一らに加え、映画『キングダム』の美術監督を務めた斎藤岩男、福島出身で現在ベルギーやドイツで活動する風早小雪、齋藤雅美、そのほかにもアメリカ、フランス、バングラデシュなどの海外アーティストも多数参画する。絵画、彫刻、インスタレーション、映像メディア、パフォーマンス、大堀相馬焼や食文化にいたるまで、双葉郡8町村を横断して多彩なアートが展開される。

 会期中には、ワークショップやアニメーション上映会、各種講演会のほか、双葉郡の地層(双葉層群)やフタバスズキリュウ、バイオミネラル(生体鉱物)を手がかりに最先端のアート&サイエンスを探るシンポジウム「STEAM 悠久の大地と海」(9月5日、FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA)などの関連プログラムも実施される予定だ。

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