最高難度のビッグフィッシュをキャッチするために作られたこのロッド、シャープさや強さなど妥協なきクオリティに仕上がったわけだが、その裏には数多くのテストがある。ルアーニュースRではこれまでもTENRYUスタッフさんから開発経緯、テストの裏側などを掲載してきた。今回もまたスタッフである吉川さんに開発過程を紐解いて頂いた。今回は五島列島(上五島)でのテストでのお話。スペーサーPEの使用を前提とした作りなど、現在のシーンにアジャストさせたタックルバランスなどもご紹介して頂いた。

「パワーマスター エクストリーム」の裏話を紹介してきているが、今回は長崎県の五島列島、上五島にてテストを行った話をしていこうと思う。

2年程前の9月末頃にスケジュールを組み、狙いとしては秋シーズン初期のヒラマサをターゲットに、テスト中のエクストリームのプロトを持ち込み、実釣とプロモーション映像の撮影を想定していた。

△丸銀釣りセンターさんを利用。民宿も併設され快適だ

上五島ではシーズン初期ということもあり、他の釣客はまだ多くは入っておらず魚はスレていない想定だった。しかし、皆さん考えることは同じなのか想定以上にアングラーが居て、バイトはあるが乗り切らず厳しい状況だという事前情報だった。

フィールドテスターのジェネラル大澤(大澤大介)氏と私の2名で挑む考えで、長崎県の平戸から船で渡礁し2日間の実釣を行う考えでいた。

大澤氏は東京在住なので、釣行前日に羽田空港から福岡空港へ飛行機で移動し、私は自宅の広島県から車で移動して福岡空港で合流する予定だ。遠征組のほとんどが、同じように福岡空港を利用してレンタカー等で移動される方が大多数のことだろう。

そこから長崎県平戸にある「丸銀釣りセンター」さんを目指して、博多市内から下道でのんびりドライブ。普通に走っていれば大体3時間もあれば到着する道のりで、お昼頃に出発すれば、途中途中で釣具店にて情報収集と買い物をしていると夕飯時の到着となる。

丸銀釣りセンターさんは民宿も兼ねており、こちらを基軸に平戸周辺から五島列島の各磯への釣行の際は利用している。また豪華な宿の食事にビックリしたことは今でも良い思い出だ。今までは出船時間の2時間前ほどに到着して仮眠をしていたが、おいしいご飯に釣行終わりにシャワーが利用できるのでリピート確定だ。

朝マヅメの痛恨と状況適応

翌朝に渡礁して貰った磯は、比較的動きやすく磯周辺がすべてポイントとなっていた。

私たちの想定では、北風の吹き始めた上五島で、シイラがヒラマサに追われ飛び跳ねながら逃げている所を狙い撃つというのが最高のプランだった。過去この時期に地元の釣具店スタッフに案内してもらった釣行では、シイラが飛び跳ねながら逃げている場面に遭遇し、メーター超えのヒラマサやシイラを釣らせて頂いた。

朝マヅメのまだ薄暗いタイミングで潮が動き出し、向かい風も相まってうねりの出ているポイントへキャスト。こういった向かい風やうねりの出ている状況にて、狙ったポイントにルアーを送り込めるシャープさと細かい操作性を求めた試作ロッド(完成前のパワーマスター エクストリーム)を持ち込んでいた。

向かい風の吹く中で230mmクラスのダイビングペンシルを数投していると早速バイト。しかし、ノットを組んだ際にドラグを緩めていた事をすっかり忘れており、バイトと同時にドラグが滑り出る。 慌ててハンドドラグでフッキングを試みるが時すでに遅く痛恨のバラシ。

この時の私に言いたいことは、「朝一のドラグチェックはお大事に」ということ。目の前のフィールドに焦ってドラグ調整を怠っていたのが原因だ。

心を整え再度アプローチを試みるが、チェイスが一回あったのみで期待していた朝マヅメは終わった。そこから潮が緩みだし、小型のベイトがちらほら見受けられる程度に。

正直、夢を求めて強めのタックルを用意していた私は、マイクロベイトが入ってきた時点で若干諦めムードだったが、テスター大澤氏は手持ちプラグからジグまでローテーションし、上から下まで丁寧に誘いヒラマサを釣り上げていた。

△想定した釣況とは異なる中で、適切にメタルジグでキャッチした大澤氏。タックル、ルアーセレクトの総合力の大切さを教えてくれた

初日の結果は、スイッチが入りきっていないのか3バイト2フックオフ。大澤氏もトップでバイトは出るが乗らず、ジグに変えての1本であった。当日は他のアングラーが10名ほどいたが、合計で2本キャッチされただけで、大澤氏のヒラマサは貴重な一尾であった。大澤氏にはタックルシステム等の知識以外にも、その時の状況に合わせる事の大事さを学ばせてもらったと思っている。

初日が終了し、宿に帰って作戦会議。初日の反省から、私もサイズの小さなプラグに合わせたタックルを追加し、気合を入れ直して2日目に挑むことにした。

過酷な状況下でのテストと改善点の洗い出し

やる気満々でチャレンジした2日目。

前日と打って変わりピーカン、ベタ凪で朝マヅメはダツのチェイスがある程度。それ以降は何も起きず、初日のチャンスだけといった厳しめの釣行となってしまった。

磯での釣りをしている限り、こういった事はある意味慣れてしまっている私。厳しい時間帯こそロッドのテストが捗るもので、この時も2機種3本ずつ程持ち込み、大澤氏と大小さまざまなルアーを投げ倒し、ルアーの動きやキャストのフィーリングを磯の上で話し合いロッドの改善点の洗い出しを行った。

この時のテストでは、アクション(調子)とパワーの評価は、この時点の試作サンプルでOKを出せる段階になってきたといえた。課題として、「ブランク表面を磯場に直接置くと小傷が気になる」という点があったので、「コーティングを行って対策出来ないか?」といった部分も見えてきた。最終的にクリアブラックの薄い塗膜をコーティングすることで対策する事になるのだが、この時点ではここまで進めたといった具合だ。

近年のマイクロベイトパターンと推奨タックル

最後に、ここ数年の五島方面ではマイクロベイトパターンが多く見られる事が増えてきたように感じる。特に春先に多い傾向があると言われていたが、今や通年を通してマイクロベイトパターンがあると言ってもいいだろう。

実際、私の釣り仲間やイベントなどでお話をしていても、小型のダイビングペンシルやシンキングペンシル、ジグへの反応が良いというアングラーの声も増えてきている。しかし、現場へ持って行けるタックルは限られており、取捨選択が迫られるタイミングなのかもしれない。

この事から、私の中で九州でのヒラマサに限って言えば、テスター大澤氏のラインシステムが理に適っていると感じている。

小型プラグを使用しても安定した飛距離の出せる、PE6号をベースにスペーサーPE20号(10m)、ナイロン120~150lb(3ヒロ)。このシステムであれば、70g台の小型プラグから240mmクラスの150gを超えてくるルアーも扱うことが可能となって来る。

結束箇所の多いシステムの為、ガイド径の大きなロッドや、ルアーの速度が出しやすいシャープなロッドが向いていると感じている。弊社では新製品「パワーマスター エクストリーム」の他には、「パワーマスター(PM9102S-XX)」をおすすめしたい。

また、「パワーマスター(PM1002S-HP / PM1002S-HH / PM1002S-X)」に関しては先のロッドと比べるとガイド径が若干小さなセッティングになってくる。PE5~6号をベースにスペーサーPE15号や、リーダーを短くしてセッティングするなど調整をして頂けるとストレスなく使用する事が出来ると感じている。

近年タックルの進化が著しく、20kgや場所によっては30kgを超えるヒラマサとの激闘を制している猛者達の情報が各所で入ってくる時代となった。ぜひ、皆さんもさらなるモンスターとの出会いに備え、準備をしてみてはどうだろうか。

【テスター大澤氏 タックルデータ】

項目
詳細

ロッド
PMX1073S-XXP

リール
SW14000HG

ライン
PE6号

スペーサーPE
20号(10m)

リーダー
ナイロン 120~150lb(3ヒロ)

ルアー
180~240mm / ジグ 100~120g

セッティングの意図:飛距離を意識したラインセッティングと、160~230mmの幅広いダイビングペンシルやシンキングペンシル・ジグを使用し、大型~小型のベイトにも対応出来るオールマイティーなセッティング。ライトではあるがスペーサーPEを活用する事でズリ上げなどのランディングも可能となっている。風が強くても安定した飛距離と、160~240mmクラスの幅広いルアーが使い易い事も魅力。近年のヒラマサシーンでは抜群の安定感のあるシステム。

【吉川 タックルデータ】

項目
タックル1
タックル2

ロッド
PMX1073S-XXP
PMX872S-XXX

リール
SW14000XG
SW18000HG

ライン
PE8号
PE8号

リーダー
ナイロン40号(5ヒロ)
ナイロン50号(4ヒロ)

ルアー
190~240mm ダイビングペンシル
240~260mm ダイビングペンシル

セッティングの意図:シイラまで捕食するビッグワンを視野に、240mmのダイビングペンシルを使用し易いセッティング。リーダーを長く設定する事で、ソロランディングの際にリーダーを持ちやすくし、ズリ上げを前提としたセッティング。

パワーマスター エクストリーム SPEC

品名
タイプ
全長( m [ft])
継数(本)
仕舞寸法(cm)
ルアーウェイト(g)
ライン(PE/号)
最大ドラグ(kg)
リアグリップ(mm)
先径(mm)
自重(g)
価格(税抜)

2026 PMX872S-XXX
S
2.62[8’7″]
2
136
MAX200g (Plug 80-180g , JIG 120-200g)
PE 6-10号
MAX15kg/45°
495
3.2
408
¥87,500

2026 PMX1073S-XXP
S
3.23[10’7″]
3
115
MAX180g (Plug 80-150g)
PE 5-8号
MAX14kg/45
545
2.8
462
¥106,000

天龍公式「パワーマスター エクストリーム」詳細ページはこちら

天龍(TENRYU)

1961年、六角竹竿加工業として下伊那郡鼎町下茶屋に塩澤製作所設立。1990年、株式会社 天龍に社名変更及び改組。創業当時、六角竹竿で一世を風靡し、1970年には日本初となるバスロッドを自社ブランドで発売。以降、カーボン素材を主軸に幅広い時代のニーズを先読みしたアイテムを輩出している。ソルトウォーターでは超軽量&高感度のSWライトゲームロッド「ルナキア」、ライトジギングでは「ホライゾン」が有名なほか、バス、トラウト、エリアフィッシング、さらにはテンカラなど、非常に幅広いジャンルでこだわりの強いロッドを生み出している。

Share.