フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。6月4日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、ウクライナでの取材を終えて帰国した日本文学者・ロバート キャンベルが、『ウクライナの今』を詳しくレポートした。
ロバート キャンベル「ウクライナから昨日の夜8時頃、東京に帰ってきました。この番組には3週間ぶりですけれどもその間、本当に色々とありがとうございました。
とにかく帰ってくるのには結構苦労するわけですよね。キーウからワルシャワに向けてもちろん飛行機が使えないので列車を使うわけですが、寝台列車で、車両が混ぜ混ぜ……すごく新しいものと、旧ソ連時代の50年ものぐらいの車両があって、ちょっと僕、外れクジを引いちゃったんですね」
武田砂鉄「どの車両が来るかは、ピンポイントで予約は出来ない?」
キャンベル「事前には出来ないですね、そういう情報が全然ないんです。
まあ幸い、予約は取れたんですけれども、3段ベッドがキャビンの中にありまして、こう割り当てられる3段ベッドの一番上か一番下かによって、天国と地獄のぐらいの違いがありまして(笑)」
武田「キャンベルさんは?」
キャンベル「僕は天井桟敷(てんじょうさじき)が与えられたので(笑)、あの座位が取れないんですよ、座れなくて、40cmぐらいかな、天井まで」
武田「じゃあもう、座面からすぐ天井って感じのところですね?」
キャンベル「そうなんです。右も左も荷物が置けないような……そこに10時間ぐらい閉じ込められるっていう感じですけれど、でも、そんなことをですね、今私は東京の朝のラジオで、文句を言ってるっていうこと、本当にバチが当たるぐらいに、ウクライナで暮らしてる人たちからすると、『何だ』っていうぐらいの。3週間一緒に過ごした、知人、友人、色々こう支えてくれた人たちの日常からすると、本当にどうってことないわけですよね。
向こうにいる間に3回程、大規模攻撃が、私が滞在したキーウにもザポリージャにもありました。キーウとザポリージャは、ドニプロ川という、ウクライナの南北を流れる大きな川でつながっています。
ザポリージャはクリミア半島の少し北側にありまして、『キルゾーン』というか激戦が繰り広げられてるところから、10kmぐらいしか離れていない都会です。
仙台市と同じぐらいの人口なんですけれども、周りが……これ以前、お伝えしたんですけれども、この州で言うと、80%ぐらいがロシア軍に占領されているわけです。
で、日常的にひっきりなしに、空襲警報が鳴り響き、遠雷のような感じで砲撃の音が聞こえたり、戦闘用ドローンの『ウィーン』っていう、すごく嫌な音が聞こえたりするわけですけど。私がいる間は市内に大きな攻撃はなかったんですね。
戦争が生活になってしまっている4年半という間に、ロシア政府のプーチン大統領が求めているものは、領土のことはもちろんのことですけど、それ以上にウクライナの言語的なアイデンティティですとか、ウクライナが独立した文化であるということを打ち消したいというか、それは全部もう母なるロシアの一部であるという、非常に歴史認識としては誤ったプロパガンダに基づいて、この戦争をずっと続けているわけですけど、ウクライナの人々は300年の間に帝政ロシアからソ連時代、そしてまあ今、2014年から戦争が始まっているわけですけれど、常にロシアによって、自分たちの文化を否定され続けているわけですね」
武田「はい」
キャンベル「今、ウクライナは独立国ですから、ウクライナ語が使えるわけですけれども。もう歴史のほとんどの間はウクライナ語を使うことすら禁じられたり、あるいは制限されていたっていう、歴史の中にずっといるわけですね。
そうすると若い人たちが何をしてるかっていうと、例えば路上アート。
街の中で、いろんな意味で戦争を主題としたポスターを作って貼り続けるですとか、着弾によって建物が鉄筋コンクリートの建物が部分的に破壊されるわけですよね。
そうするとアーティストたちがそこに行って、その、ま、廃墟となった建物を、言ってみればキャンバスに見立てて、作品に作り変えていくわけです」
武田「うん」
キャンベル「壁の上に絵を書いて文字を書き付けたり、私がザポリージャで取材した若いカップルは、『スリーピース』と『ハロー』っていう名前で活躍してるんですけど、日本で言えばこうアングラ・アーティストみたいな。
ま、日本の『Chim↑Pom(チンポム)』という有名な人たちがいて、ゲリラ的に出撃をしてアートを街の中で作るわけですけれども、そんな感じです。
彼らが根城にしているアトリエに行って一日、一緒に、行動して取材をしたんですが。
隣の建物が、昨年の8月に破壊され。そのまま残骸が残っているわけですけれども、そこによじ登って、赤い塗料を流して、まるで建物がこう血を流しているような、『私の街の傷口』っていう作品に仕立ててるわけですね」
ロバート キャンベルさんが実際に現地で取材した貴重なウクライナレポートは、まだまだ続きます。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。
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