ギル野生生物保護区には、インドライオンの最後の群れが生息する。 (VIDEO BY MIKE MCGOVERN)

 雑誌「ナショナル ジオグラフィック日本版」2026年6月号では、インドのグジャラート州にあるギル野生生物保護区に生息するライオンを特集している。インドライオン(アジアライオン)はかつて絶滅の瀬戸際にあったが、インド政府からの財政支援や地域でのさまざまな取り組み、そして保護活動が効果を上げ、2025年の最新調査によると891頭まで回復した。(参考記事:「復活を遂げたインドのライオン 世界で最後の個体群」)

 ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)で写真家のスティーブ・ウィンター氏は、今回の特集に向けてライオンを撮影するため現地を訪れた。貴重な写真がどのように撮影されたのか、舞台裏をウィンター氏に聞いた。

――今回の話はどのように始まったのでしょうか。ギル国立公園でライオンを撮影しようと思ったきっかけは?

 私は20年以上にわたって大型ネコ科動物を撮影してきました。インドでも長年、ヒョウやトラを追ってきました。インドのライオンのことはずっと頭の片隅にあり、今回これをテーマに撮ってみようと思ったのです。

 インドにライオンが生息していることはあまり知られていません。インドライオンは私たちがよく知るアフリカライオンと同じ種です。そして今もインドライオンが生息している唯一の場所が、アラビア海に面したインド西部のグジャラート州です。(参考記事:「【動物図鑑】インドライオン」)

 ジャーナリストビザを申請したのは新型コロナウイルス感染症のパンデミック前でしたが、その後、何年もの間あらゆることがストップして、手続きをやり直すことになりました。ようやく取材を始めるまでに7年もかかりました。

かつて絶滅の瀬戸際にいたインドライオンは、現在では900頭近くまで回復している。(VIDEO BY MIKE MCGOVERN)

――現地では、どんなことが特に大変でしたか?

 こうした取材で一番大変なのは、保護区があっても、観光客が立ち入れるのは全体の10~20%に限られていることです。私は特別許可をもらっていましたが、それでも立ち入り禁止区域には入れませんでした。

 国立公園には必ず、動物のための核心地域があります。ギル野生生物保護区がそれです(注:インド政府は1965年にギル野生生物保護区を設立し、75年には、そのうちの一部がギル国立公園に指定された)。これは本当に素晴らしいことで、動物たちにとっても理想的です。安心して暮らせる環境を確保できますから。

 そうした区域では、ライオンたちが目の前にいることもよくあります。ですが、まだ姿を見ていない動物を撮影するのはとても難しいのです。

参考ギャラリー:復活を遂げたインドのライオン 写真と地図12点(2026年6月号)(写真クリックでギャラリーページへ)

参考ギャラリー:復活を遂げたインドのライオン 写真と地図12点(2026年6月号)(写真クリックでギャラリーページへ)

インドのグジャラート州にあるギル国立公園で、若い雄ライオンが、日頃から縄張りのマーキングのために引っかいている木を調べている。(PHOTOGRAPH BY STEVE WINTER)

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