県が2020年度から進めている「唐津プロジェクト」が本年度、次々と動き出す。昨年は、名護屋城跡近くの前田利家陣跡で巨大な堀とみられる遺構を新たに発見、著名な歴史学者から「陣というよりまるで城」と評され、全国的に大きな注目を集めた。今年は、西の浜でのパラセーリングの運航開始を皮切りに、海洋プラスチック専門の教育・体験・交流施設「世界海洋プラスチックプランニングセンター(PLA PLA)」のオープン、国際自転車ロードレース大会「マイナビ ツール・ド・九州2026」の県内初開催など、新たな取り組みが相次ぐ。歴史や自然、スポーツなど地域資源を掛け合わせながら、唐津エリアの価値を磨き上げていく。
「PLA PLA」 6月7日オープン

6月7日にオープンする「世界海洋プラスチックプランニングセンター(PLA PLA)」
佐賀から海洋プラスチック問題を提起
生態系や漁業、観光などへの影響が地球規模で深刻化する海洋プラスチック問題の解決につなげようと、波戸岬海浜公園(唐津市)に6月7日、「世界海洋プラスチックプランニングセンター(PLA PLA)」がオープンする。海洋プラスチックの回収・分別・再生などリアルな体験を通じて学ぶことができ、海洋プラスチック問題に特化した教育・体験・交流の機能を備えた施設としては世界初となる。
九州北部の玄界灘沿岸は、対馬海流や季節風、地形などの影響で国内外からペットボトルや海に浮く目印のブイなどの海洋ごみが漂着・堆積する〝ホットスポット〟と呼ばれている。その中心である波戸岬に開設するPLA PLAは、 生活や行動を見つめ直すきっかけをつくる狙いから、 施設名に「プランニング(考えて行動すること)」を加えた。
波戸岬海浜公園内の休憩所を改修し、隣に平屋建ての建物を新設。1次エネルギーの消費量が実質ゼロの建物「ZEB」の認証を、県内の公共施設で初めて取得した。展示や映像などで海洋プラスチック問題を学び、海洋プラスチックを原料としたワークショップまで体験できる「展示・体験ラボ」、海洋プラスチックの粉砕から原料化、製品製造までの再生過程を見学できる「再生ラボ」、波戸岬海岸沿いでのビーチクリーンアップなど、回収から再生まで、海洋プラスチック問題を実体験できる 。
来場者の手で施設を造り上げていくのもPLA PLAの特徴。来場者が回収したカラフルなブイを詰める籠をエントランスに並べ、半屋外の通路の屋根には回収された海洋プラスチックを再生したパネルを張る。海洋プラスチックを再生したテーブルやイスを備え、地元の食材を使ったメニューを提供するカフェも設け、交流拠点としての役割も担う。
大学との調査・研究にも力を入れるとともに、継続して開催している国際シンポジウムなどを通して、同じ問題を抱える国や地域とのネットワークを構築し、佐賀から海洋プラスチック問題の解決を目指す。
入場は無料。体験プログラムは有料で、本年度、県内小中学校などの課外活動や探究活動に対して体験プログラムの料金を補助する。政策部は「佐賀から地球規模の課題に取り組み、解決を目指す施設。リアルな体験から深く理解し、一人一人の行動変容が世界に広がれば」と県内外、さらには海外からの来場を期待する。
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マイナビ ツール・ド・九州 県内初開催

昨年のツール・ド・九州の熊本阿蘇ステージでゴールする選手たち。世界のトップ選手たちが迫力のレースを展開した
「ルート・グランブルー」など絶景疾走
世界トップクラスの選手が、ルート・グランブルーを疾走する。県が観光振興と交流人口の拡大を目的に誘致した自転車ロードレースの国際大会「マイナビ ツール・ド・九州2026」が10月、初めて県内で開催される。唐津市の海岸線を舞台に、地域資源の発信と認知度向上を図り、誘客の契機とする。
大会は九州6県で10月9〜12日に開かれ、県内は2日目のコースに組み込まれる。6月にオープンする波戸岬海浜公園の世界海洋プラスチックプランニングセンター(PLA PLA)前をスタートし、ルート・グランブルー、唐津城、虹の松原を通り、糸島市を経て福岡市中心部の天神でフィニッシュする約150㌔のコースで、世界最高峰のツール・ド・フランスにも出場する海外チームも出場する見込みだ。
大会の舞台となるルート・グランブルーは、世界的ダイバー、ジャック・マイヨールが愛した唐津の海にちなんで名付けられた。唐津市の海沿いを走る国道204号の唐房バイパスから波戸岬までの約20㌔。県は、この沿線エリアを観光資源として整備してきており、絶景を生かした情報発信を強化する。大会では同ルートを周回コースとして2回通る。スタート地点や、観戦ポイントとなる唐津市役所前ではセレモニーやイベントも計画している。コンベンションチームは「唐津の絶景をバックに繰り広げられる世界トップレベルのレースを楽しんでほしい」と話す。
県はこれまでにルート・グランブルーの標識整備や景観改善、広報の強化に取り組んできた。3月にはオリジナルサインの看板を設置し、新たな路面標示も設けた。本年度は、PLA PLAやパラセーリングなどを含めた唐津プロジェクトとしての情報発信を強化する。観光課は「ツール・ド・九州をきっかけにルート・グランブルーを中心とした自然、食、歴史など唐津・玄海エリアの素晴らしさを、県外にも発信してきたい」と意気込む。
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唐津をマリンアクティビティーの聖地に

4月に始まった新たなアクティビティー・パラセーリング。約100㍍の高さから唐津城や虹の松原などを一望できる
パラセーリングで“空中散歩”
唐津城を望むロケーション抜群のビーチ「西の浜」をはじめ、唐津・玄海エリアが誇る美しい自然を活用したマリンアクティビティーを充実させ、エリアの付加価値向上につなげる「KMAP(唐津マリンアクティビティーパーク)」事業が本格化している。4月からは、新たにパラセーリングが楽しめるようになった。夏には、恒例となった西の浜でのビーチイベントを開催する。
立神、七ツ釜、波戸岬、玄海、東の浜。多彩な魅力を持つ各エリアのうち、事業の中心となるのが「唐津キャッスルベイ」と名付けられた西の浜。穏やかな唐津湾では初心者でもマリンアクティビティーが楽しめる。SUPやBIG SUP、シーカヤック、ヨットやハンザ(子どもや高齢者も安全に乗れる小型ヨット)、バナナボートといったアクティビティーは、2025年度に前年度の2倍以上の約430人が体験した。
4月下旬からは、モーターボートなどに引っ張られてパラシュートで空中に舞い上がるパラセーリングが、北部九州で初めて体験できるようになった。約100㍍の高さから10分程度、空からの眺めを満喫でき、唐津城や虹の松原などの絶景を一望できる。
パラセーリングの運航は、セーリングの選手や指導者などが担う。アスリートの雇用につながる新たなスポーツビジネスモデルの創出としても期待されている。
西の浜でのビーチイベント「Grand Blue(グランブルー)」は昨年、アーティストやDJ、ダンサーによるステージイベント、バブルパフォーマンスなどが人気を集め、前年の2倍以上の約1万1400人が来場した。マリンアクティビティーを気軽に体験できる機会にもなっている。 今年は7月中旬ごろに開催する予定で、唐津市や地元の商工会議所、漁協などと協力して地元グルメや来場者向けのおもてなしなどをこれまで以上に充実させる予定。
24年度に始まったこれらの事業について、政策部は「種をまいてきた2年間を経て、発展期に入っていく」と展望し、「唐津の自然を生かし、地域と一緒になって、新たな価値の創出に取り組んでいきたい」と話す。
唐津をマリンアクティビティーの聖地に

4月に始まった新たなアクティビティー・パラセーリング。約100㍍の高さから唐津城や虹の松原などを一望できる
パラセーリングで“空中散歩”
唐津城を望むロケーション抜群のビーチ「西の浜」をはじめ、唐津・玄海エリアが誇る美しい自然を活用したマリンアクティビティーを充実させ、エリアの付加価値向上につなげる「KMAP(唐津マリンアクティビティーパーク)」事業が本格化している。4月からは、新たにパラセーリングが楽しめるようになった。夏には、恒例となった西の浜でのビーチイベントを開催する。
立神、七ツ釜、波戸岬、玄海、東の浜。多彩な魅力を持つ各エリアのうち、事業の中心となるのが「唐津キャッスルベイ」と名付けられた西の浜。穏やかな唐津湾では初心者でもマリンアクティビティーが楽しめる。SUPやBIG SUP、シーカヤック、ヨットやハンザ(子どもや高齢者も安全に乗れる小型ヨット)、バナナボートといったアクティビティーは、2025年度に前年度の2倍以上の約430人が体験した。
4月下旬からは、モーターボートなどに引っ張られてパラシュートで空中に舞い上がるパラセーリングが、北部九州で初めて体験できるようになった。約100㍍の高さから10分程度、空からの眺めを満喫でき、唐津城や虹の松原などの絶景を一望できる。
パラセーリングの運航は、セーリングの選手や指導者などが担う。アスリートの雇用につながる新たなスポーツビジネスモデルの創出としても期待されている。
西の浜でのビーチイベント「Grand Blue(グランブルー)」は昨年、アーティストやDJ、ダンサーによるステージイベント、バブルパフォーマンスなどが人気を集め、前年の2倍以上の約1万1400人が来場した。マリンアクティビティーを気軽に体験できる機会にもなっている。 今年は7月中旬ごろに開催する予定で、唐津市や地元の商工会議所、漁協などと協力して地元グルメや来場者向けのおもてなしなどをこれまで以上に充実させる予定。
24年度に始まったこれらの事業について、政策部は「種をまいてきた2年間を経て、発展期に入っていく」と展望し、「唐津の自然を生かし、地域と一緒になって、新たな価値の創出に取り組んでいきたい」と話す。
名護屋城 文化ツーリズムの拠点へ進化

昨年11月の名護屋城大茶会。トークイベントでは俳優の高橋英樹さん(中央)、山口祥義知事(左端)らが名護屋城の魅力を語り合った=唐津市鎮西町の名護屋城跡
前田利家陣跡 「50年に1度の発見」
唐津市、玄海町一帯の国特別史跡「名護屋城跡並陣跡」が、「文化ツーリズム」のハブとして注目を集めている。名護屋は豊臣秀吉の号令のもと、160を超える武将が全国から集まり、茶の湯や能などを通じてさまざまな文化交流が生まれた日本文化発展の〝はじまりの地〟。県はこの歴史的・文化的価値を発信する「はじまりの名護屋城。」プロジェクトを展開しており、その中心的な取り組みとして2021年度から毎年「名護屋城大茶会」を開催。県内周遊を創造する文化ツーリズムへと進化している。
名護屋城大茶会の来場者は年々増加し、昨年度は半数以上を県外客が占めた。成長への転機となったのが、昨年3月に実施した第4回の大茶会。名護屋城の城としての価値にフォーカスし、著名な歴史学者である磯田道史氏、千田嘉博氏、平山優氏によるトークショーを開催。「秀吉の城の中で、城の全体像が唯一確認できる『奇跡の城』」、「首都機能があり、天下人が築城した城の名称をもって時代名とするならば、『安土桃山時代』ではなく『安土〝肥前名護屋〟時代』と呼んでもよい」などの発言が飛び出し、文化課は「名護屋城の価値を広く伝えることができた」と振り返る。
昨年には、城跡近くの前田利家陣跡で、周辺陣跡の中で最大規模の巨大な堀とみられる遺構が確認され全国的に注目された。堀の幅は姫路城の堀の平均幅と同程度で、専門家からは、「陣というより、まるで城」と評された。県は50年に1度とも言える特筆すべき発見と捉えている。

前田利家陣跡の発掘調査結果の意義を語る千田嘉博氏(右)と平山優氏=昨年11月、唐津市鎮西町の同陣跡
昨年11月の大茶会は、日本最大級のお城の祭典「出張!お城EXPO」とのコラボで開催。過去最多の約2万8千人が来場し、お城ファン・歴史ファンの熱気に包まれた。学芸員による前田陣跡プレミアムガイドも開催し2日間で200人以上が参加。注目度の高さをうかがわせた。
同陣跡は発掘調査が続き、11月22日に開催予定の次回の大茶会でも目玉とする予定。前田陣跡は周遊拠点として整備する計画で、28年度の完成を目指す。文化課は「現地だからこそ伝わる名護屋城の深いストーリーを体感できるように整備し、選ばれる『文化ツーリズム』に育てていきたい」と展望する。
