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在米ジャーナリスト
2026年11月、アメリカでは中間選挙が行われる。イラン攻撃の長期化で不支持が増えているとされるトランプ大統領は勝てるのか。また、任期途中で解任される可能性はあるのか。ジャーナリストの岩田太郎さんがレポートする――。
アメリカは戦争に負けている
エプスタイン問題で岩盤支持層の離反を招き、イラン攻撃の長期化による物価高で、「物価を下げる」という公約の実現に失敗したことで、トランプ大統領の支持率が低迷し「トランプ下ろし」の動きが活発化している。
だが同時に、民主党を見限った人がそう簡単に民主党支持に戻ってこないこともはっきりしてきている。彼らの多くは「自由貿易による中間層の困窮」や「開かれた国境による無制限な移民受け入れ」など、明確な理由があって民主党に絶望して去ったのだから、いくらトランプがハチャメチャをやっても、そう簡単に民主党支持に回帰しない。
トランプ政権が宣伝する「米国はイランに勝利している」という物語はフェイクニュースに過ぎない。著名なリベラル派のジャーナリストであるマクウィリアム・ビショップ氏は米『ローリングストーン』誌への寄稿で、「ベトナム戦争における敗北から半世紀を経て、米国はベトナムで犯した『戦闘に勝って戦争に負ける』愚を繰り返している」と看破した。
その理由は、「米国がミサイルや爆弾で標的を破壊することはできても、繊細で、洞察力が要求される政治的な問題を、持続可能な外交で解決することはできない」からだ。
国際安全保障を専門とする米シカゴ大学のロバート・ペイプ教授(政治学)も、「トランプ大統領が要求するイランの核兵器の開発放棄とホルムズ海峡の封鎖解除は、米国とイランどちらの当事者も譲歩できないため、限りなくエスカレートするのみだ」と見る。
そこでトランプ氏は、自身の面子を保つため、部分的な勝利で幕引きを図ろうとしている。ところが、イランはなお、停戦に向けた協力的な姿勢を示そうとせず、戦争の泥沼化を図っている。
「江戸の敵を長崎で討つ」作戦
イランが戦争長期化に成功すれば、原油価格高騰やサプライチェーンの混乱によるインフレ悪化で米経済成長が阻害され、トランプ大統領に対する米国民の支持が失われると、革命防衛隊は踏んでいる。
実際に戦争が長引くことで大統領の立場が弱くなり、11月の中間選挙で米共和党が大敗北を喫する可能性があると、ペイプ教授は分析する。
そして、ここがペイプ教授の見立てのキモなのだが、「イランは(2019年と2021年の過去2回に米下院で弾劾が成立したものの米上院では不成立など)米民主党でも倒せなかったトランプ大統領を、(中間選挙で勝利した民主党による3回目の弾劾あるいはトランプ大統領の解任などで)失脚させ、歴史に名を残そうとしている」。
つまり、軍事面で米国にほぼ完敗状態のイラン革命防衛隊は、トランプ大統領にオウンゴールを重ねさせ、民主党を選挙で勝利させることで、いわば「江戸の敵を長崎で討つ」を狙っているわけだ。

写真=iStock.com/Sean Pavone
「江戸の敵を長崎で討つ」作戦(※写真はイメージです)
トランプ失脚を望むという意味では、「米国の敵」イランは、米民主党と共闘関係にあるとも言える。イラン革命防衛隊による「トランプ降ろしによる勝利の目論見」は、半年後に迫った中間選挙において民主党が下院の過半数を奪還することが前提となる。
