唐鎌大輔の為替から見る日本
【唐鎌大輔の為替から見る日本】欧州3大国を覆う政治危機、英リフォームUK、仏RN、独AfDが揺らす中銀の独立性
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2026.5.21(木)
イギリス地方選で大敗した与党・労働党。写真中央はスターマー首相(写真:PA Images/アフロ)
昨年来、第二次トランプ政権の不規則な挙動が批判的な目線で評価されるのに対して、これに立ち向かおうとする欧州、とりわけEU(欧州連合)の基本姿勢は金融市場で好意的に受け止められてきた。昨年3月の欧州再軍備計画を皮切りに、「安全保障面で米国に依存できる時代はある程度終わった」との認識が強まる中で、通貨ユーロも堅調に推移している。
米国や日本では中央銀行の独立性が争点になっているが、ECB(欧州中央銀行)は、国際機関ゆえの寄り合い所帯であることが奏功し、粛々と安定した政策運営が続けられている。イラン攻撃後、利下げ期待が大幅利上げ期待に旋回したのは、市場参加者の思惑として「ECBならば、まずインフレ退治に踏み込むはず」という信認の表れでもある。
もっとも、経済・金融情勢はともかく、断続的に政治情勢が不安定化するのが欧州でもある。案の定、最近になって欧州の大国において政情不安が目立ち、これが市場に悪い影響を与えつつある。
発火点となった英国政治
現在、政治情勢が不安定化している欧州の国は1つではないが、世界的な金利上昇との関係では英国の政情不安定を指摘する向きは多い。
既報の通り、5月7日に行われた英国の地方選挙では与党・労働党が1400以上もの議席を失う歴史的大敗を喫した。もともと、G7の中では高めの利回り水準にあった英国10年債利回りは約18年ぶりの水準にまで高まっている(図表①)。
【図表①】
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ちなみに、フランスの10年債利回りは17年ぶり、ドイツは15年ぶり、日本は29年半ぶりの水準だ。
英国地方選の結果が特に深刻なのは、有権者の不満が既存政党へはっきり向けられているところにある。
