ウクライナ、モスクワ郊外に侵攻開始後最大規模の無人機攻撃 少なくとも4人が死亡

ウクライナ国防省は2026年5月17日、2022年2月のロシアによる侵攻開始以来、最大規模の無人機(ドローン)攻撃をロシアの首都近郊のモスクワ州などで実施したと発表しました。16日夜から17日朝にかけて行われた今回の攻撃は、ロシアが13〜14日にウクライナ各地へ大量の無人機とミサイルで攻撃したことへの報復措置とされており、両国間の緊張が急速に高まっています。

ロシア国防省は17日、モスクワ州をはじめとするロシア各地でウクライナ軍の無人機586機を撃墜したと発表しました。モスクワ州のボロビヨフ知事は、州内で複数の住宅が損壊し、3人が死亡、4人が負傷したと通信アプリ上で明らかにしました。また、ウクライナと国境を接するベルゴロド州でも男性1人が死亡したことが確認されており、両州で合計少なくとも4人の死者が出ています。さらに、在モスクワのインド大使館は、インド人労働者1人が死亡し、3人が負傷したと発表しており、外国人労働者にも犠牲者が広がっている実態が明らかとなりました。

モスクワのソビャニン市長も17日、市内の製油所付近に無人機攻撃があり、建設作業員ら12人が負傷したと発表しました。精製所の設備への直接的な損害はなかったとしているものの、市内のシェレメチェボ国際空港にはドローンの破片が落下し、一時的に航空機の発着が停止される事態となりました。モスクワのソビャニン市長によれば、市内には約80機のドローンが向かい、防空システムが数十機を迎撃したとしており、首都の防衛が機能しているとしながらも、その突破を許した事実は象徴的な意味を持っています。

ウクライナの情報機関である保安局(SBU)によれば、今回の攻撃対象はモスクワ州内に設置された複数の石油関連施設や米国の制裁対象企業のほか、ロシアが実効支配する南部クリミア半島の軍用飛行場や対空ミサイルシステムにも及んだとされています。ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSに「モスクワ地域の防空網は最高レベルだが、我々はそれを打ち破っている」と投稿し、成果を強調しました。また、今回の攻撃はウクライナへの攻撃に対する「完全に正当な対応だ」とも述べています。

ロシアは直前の5月13〜14日にかけて、首都キーウを含むウクライナ各地に大規模なミサイル・無人機攻撃を実施し、子ども3人を含む24人が死亡していました。この攻撃に対し、ゼレンスキー大統領は「複数の対応策を承認した」と表明し、報復攻撃の強化を誓っていました。今回のモスクワ周辺への攻撃は、その言葉通りの行動として実行された形です。

停戦交渉と激化する攻撃の応酬

今回の大規模攻撃は、両国の停戦交渉が難航するなか発生しました。トランプ米大統領の仲介によって5月9〜11日には3日間の停戦が実施されましたが、停戦終了後にロシアはただちにウクライナへの攻撃を再開しました。ロシア軍は停戦明け初日の13日だけで、長距離ドローン892機という大規模攻撃を仕掛けたとされており、停戦の実効性に深刻な疑問が投げかけられています。

キーウへの大規模攻撃で子ども3人を含む24人が死亡したことを受け、ゼレンスキー大統領はロシアの石油産業や軍需産業への攻撃継続を宣言。今回のモスクワ郊外への過去最大規模の無人機攻撃は、その宣言の具体化であるとともに、両国の報復応酬が新たな段階へ突入しつつあることを示しています。

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