2026年5月5日、若者の引きこもり支援を続けてきたNPO法人ニュースタート事務局(千葉県市川市)の活動終了について東洋経済オンラインが報じた。ニュースタートは1994年の活動開始以来、6000件以上の相談を受け、1600名以上がサポートの結果、主体的に自立していった実績を持つ。メディアにも取り上げられた同団体の活動により、「引きこもり」という存在が周知され、多くの支援につながるなどの実績を残した。

引きこもりについて、厚生労働省は「様々な要因の結果として、就学や就労、交遊などの社会的参加を避けて、原則的には6ヶ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態のこと。(他者と交わらない形での外出をしている場合も含む。)」と定義している。

理事・二神能基さんは終了の理由について、動画を発表。そこで一定の実績を残せたことと「問題を家族で抱え込まず、他者の力を借りて問題を解決しようと訴えてきたが、家族で解決しようという潮流があり、そこには勝てなかった」という思いをニュースタートの動画で語っている。

引きこもりは当事者の高齢化もあり社会問題になっている。厚生労働省は2026年5月1日に引きこもり支援のサイトを更新。15〜64歳の50人に1人、約146万人がひきこもり状態にあるという推計結果から、支援が必要なことを訴えている。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「人間関係のトラブル、さまざまなハラスメント被害などから心の病になり“引きこもり”状態になる人もいます。中には親子関係が良好でないことが原因となり、引きこもる人も。別居している親から“子供の様子を見てほしい”という依頼も増えています」という。

学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修業に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。

「探偵が見た家族の肖像」につづく連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにして行ったのかも含め、様々な事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。

今回山村さんのところに連絡してきたのは、57歳の看護師・里香さん(仮名)とだ。「おそらく引きこもりになっている娘の様子が知りたい」と連絡をしてきた。

山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWeb連載など様々なメディアで活躍している。

25歳の長女のことで

里香さんから「娘が心配なのです」と連絡が入ったのは、金曜日の夕方でした。「夫と土曜日の夕方に伺いたい」というので、里香さん夫妻をカウンセリングルームにお迎えしました。里香さんは看護師、同じ57歳の夫は勤務医で、北海道からやってきたとのこと。スーツ姿でかなり緊張しています。里香さんはすぐに依頼の背景を話し始めました。

「お願いしたいのは、25歳の長女のことです。小さい頃はちゃんとした普通の女の子だったのに、中学校に入ってからは、おしゃれだ化粧だって、遊ぶことばかり。その頃から、手に職がないとまともな結婚ができない時代になっており、女が幸せを手に入れるには勉強が近道だとわかっているのに、娘はやらなかったのです」

その後、1時間ほど娘の素行の話をしており、私が気になったのは、「娘が16歳ごろから自分は男だ、と言い始めた」という里香さんの発言です。里香さん夫妻は旧来の性別観を持っている。話を聞いていると、娘は、セクシャリティはわかりませんが、親が押し付けてくる「女」を否定して「男」になり、自分の心を守ろうとした可能性もあるのではないかと思いました。

「男化はいつの間にか終わり、高校はなんとか卒業できました。不登校も長く、ギリギリの出席日数だったのですが、高校を出たのは、『卒業したら東京に出てもいい』という条件をつけたから」

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