2026年5月7日 午前7時30分
【論説】教育現場で新聞を活用する「NIE」の推進に向けた本年度の県内実践指定校9校が決まり、本格的に活動がスタートした。各校とも新聞を使って教室と社会をつなぎ、児童生徒の広い視野の育成につなげてほしい。
新規の実践校は、越前市味真野小、越前町宮崎小、福井市川西中、大野市陽明中、敦賀市東浦中の5校。指定2年目は福井市鶉小、小浜市内外海小、坂井市春江中、足羽高の4校。新聞を授業などに用いて児童生徒の情報活用力や価値判断力の育成につなげていく。
各校が定めた実践テーマをみると、小学校は「自らの考えを持つことで、実体験と社会の関わりに気づき多様な考えに広げる」「探究サイクルの中でNIEを取り入れ、学びを深める」などがある。中学校は「確かな学力と主体的に学ぶ態度を育成」「記事を起点に意見を交わす朝活動の実践」などで、いずれの学校も新聞を積極的に使おうとする意欲がみてとれる。
昨年度の実践校は多様な取り組みを繰り広げた。例えば、福井大附属義務教育学校後期課程は、教科の復習や問題提起をしていた授業開始時の5分間を使って、生徒の自発的な学びや個性を大切にする実践を推進した。生徒がグループになって記事をもとに議論したり、記事を読み深めて現在の学習と結びつけたりした。生徒自身が新聞活用の可能性を探った好例だ。
新聞は教育現場でどのような教材になり得るのか。県NIE推進協議会長で福井大教育学部の松友一雄副学部長は、人には情報を客観的に把握する「分析的な理解」と、自分ごととしてとらえる「共感的な理解」があるとする。その上で「共感的理解を土台にしないと記憶に残らない。人前で話したり書いたりするときに思い出せない」と指摘する。共感的な理解を育てる教材こそが新聞なのだ。
松友会長は「学んだことが生活や経験に血肉化されていくことが重要で、教科書よりも身近でリアルな新聞が教材として一番いい。NIE活動は本当に大事な力を育成している」と話す。
NIEは積み重ねることが重要である。新聞は児童生徒が日々変化する現代社会の課題とつながる教材だ。さまざまな人々の生き方や喜怒哀楽にも触れることもできる。これまで多くの実践校が新聞活用の事例を積み上げてきた。本年度の9校も工夫しながら活用法を探ってほしい。実践を通じて県内のNIEがさらに普及することを期待したい。
