
中東ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けた原油の代替調達として、ロシア産原油を積んだタンカー「ボイジャー」が愛媛県今治市の菊間港に到着する見通しです。ホルムズ海峡が封鎖状態になって以降、日本がロシア産原油を輸入するのは初めてとなります。
積載しているのは、ロシア極東・サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で産出された原油です。サハリン2は日本企業も出資するプロジェクトで、液化天然ガス(LNG)に加え、ガス田から随伴して産出する原油を日本向けに供給してきました。
ロシアへの制裁を強める米国や欧州連合(EU)も、サハリン2事業からの原油・天然ガス供給については例外扱いとしており、日本向け輸入は制裁対象外とされています。
調達するのは、石油元売り中堅の太陽石油です。同社は愛媛県今治市の四国事業所に製油所を持ち、今回のロシア産原油もここで受け入れる予定です。太陽石油はロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア産原油の調達を原則停止していましたが、経済産業省の要請を受け、サハリン2由来の原油輸入を実施しており、2025年6月に続き今回が2回目となります。
経済産業省は、中東情勢の悪化により原油調達の多角化が必要との立場を示しており、サハリン2からの輸入については米国とも調整のうえ、制裁リスクがないことを確認しているとしています。
日本政府はサハリン2からのLNG調達を継続してきました。サハリン2で産出される原油は、ホルムズ海峡を経由せずに日本へ輸送できる供給源のひとつとなっています。一方で、ロシア産エネルギーへの依存度を高めることについては、対ロ制裁との整合性や今後の外交・安全保障政策への影響など、慎重な検討を要する判断となっています。
安定供給と制裁協調 問われる日本の政策判断
日本の原油輸入は中東への依存度が高く、ホルムズ海峡が封鎖された現在、代替調達ルートの確保が喫緊の課題です。米国産原油の輸入拡大も進んでいますが、輸送日数や調達コストの面で課題があり、地理的に近いサハリン2からの原油は相対的に調達しやすい選択肢として浮上しています。
しかし、欧米がロシアへの圧力を強めるなか、日本がサハリン2からのエネルギー調達を続けることについては、国際的な理解が得られるかという懸念もあります。エネルギー安定供給と対ロ制裁への協調の両立に向けて、日本は難しい政策判断を迫られる状況が続きそうです。
