島根県の日本海側最西部に位置する益田市。領主の益田氏は中世に東アジアとの交易を盛んに進め、この地を経済的な発展に導き、独自の優れた文化が根付いた。当時の繁栄ぶりを示す数々の文化財や寺社、町並みが今も残り、2020年に日本遺産となった。

大小様々な岩石が美しく配置された雪舟庭園(島根県益田市の萬福寺で)大小様々な岩石が美しく配置された雪舟庭園(島根県益田市の萬福寺で)

 構成文化財の代表例が、室町時代に活躍した水墨画家・雪舟の手がけた「雪舟庭園」だ。萬福寺と医光寺の2か所にあり、いずれも雪舟が作った数々の庭の中でも代表的な「四大庭園」に数えられる。

 このうち、萬福寺の庭園は、1479年に領主の益田兼堯が雪舟を招いて造らせた。緑の中、数々の岩石が美しく配置され、「
須弥山(しゅみせん)
世界」と呼ばれる仏教の宇宙観を象徴しているとされる。国史跡・名勝にも指定されている。寺で生まれ育った
神一(こうかず)
紀道住職(83)は「雪舟独特の石組みは、見ているだけで心が癒やされます」と語る。

 この庭を舞台とする新たな試みが今年、始まった。庭を背に、幕末に日本に伝わった「湿板写真」で記念撮影するというものだ。撮影の際は一定時間静止する必要があり、画像はガラス板に投影される。

 考案者は、地域活性化に取り組む益田市の会社「シバケンランド」の社長、柴田健治さん(41)。昨年11月のモニターツアーで好評だったため、4月から正式にスタートした。「湿板写真は白黒で雪舟の水墨画の世界と良く調和する。幕末の雰囲気を体験してください」とPRする。

 市内には雪舟庭園の他、雪舟の墓がある「大喜庵」、益田氏の拠点だった大規模な山城「七尾城跡」など、数々の構成文化財がある。構成文化財以外でも、万葉集の代表的な歌人・柿本人麻呂ゆかりの「高津柿本神社」、フランスの世界遺産に似ているとして「山陰のモンサンミッシェル」とも呼ばれる「
衣毘須(えびす)
神社」といった見所がある。

 市観光協会は「益田の魅力を味わい尽くしてほしい」と来訪を呼びかけている。(松江支局 竹内芳朗)

昨年11月に行われた湿板写真のモニターツアーの様子(島根県益田市の萬福寺で)昨年11月に行われた湿板写真のモニターツアーの様子(島根県益田市の萬福寺で)地図・島根県益田市地図・島根県益田市

 萬福寺(0856・22・0302)はJR益田駅から車で10分。年中無休で午前8時半~午後5時。拝観料は大人500円、高校生以下無料。湿板写真の体験は1枚あたり3万3000円(税込み)。予約は14日前までに、益田市観光協会(0856・22・7120)へ申し込む。

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