AI活用で「まちなかENGLISH QUEST」の運営効率化/管理業務を40%削減、教育プログラムのデジタル化を推進
国際交流事業を手掛けるHelloWorld株式会社(沖縄市、野中光・冨田啓輔代表取締役Co-CEO)は、自社が提供する英語の探究型フィールドワーク「まちなかENGLISH QUEST」の業務効率化と事業拡大を目指し、沖縄県の「令和7年度 ICT ビジネス高度化支援事業」を活用して、AI等を用いた管理システムの開発に取り組んだ。これまでは、プログラムに協力する外国人スピーカー(ES)の募集から参加者の課題(ミッション)採点までの膨大な管理業務を、表計算ソフトなどを用いて手作業で行っていたが、管理システムの構築により、大幅な人的工数削減に挑んだ。

拡大阻む「手作業」からの脱却 事務負担が課題に
「まちなかENGLISH QUEST」(イングリッシュ・クエスト)とは、街なかを舞台に、生徒たちがチームで外国人(ES:イングリッシュスピーカー)と一緒に歩き、現地にちなんだ英語のミッション(課題)をクリアしていく体験型の国際交流プログラムだ。累計2万人以上が参加する人気事業となっている。
しかし、その運営の多くは手作業に依存していた。たとえば参加者300人規模の案件では、ESの選考等に加え、当日の現地スタッフ、オンライン上で採点やミッションを管理するサポートスタッフが必要だ。さらに実施後には、ESに対する評価などを行い、スプレッドシートに入力するなど多大な作業時間が必要であった。
参加者が増えるにつれ増大する事務作業は、多地域展開や開催規模の拡大を阻む壁となっていた。人手に頼りすぎる運営から脱却し、デジタル技術を用いた新たなマネジメントシステムの開発が急務となった。

開発内容について説明するHelloWorld株式会社の岸本妃南子さん
AI採点の精度、人間との差は6.5% 実用性を確認
今回の開発では、主に3つの機能が実装された。1つ目はESのデータを一元管理する「ES管理機能」。2つ目は、ES自身がプロフィール管理や参加希望の提出を行える「ES専用ページ」。そして3つ目が、参加者が課題クリア時に提出する「動画ミッション」のAI採点機能だ。これは生徒が英語で話す動画をAIが解析して評価を補助する仕組みで、運営側とES間のやり取りを効率化する狙いがある。
システムの有効性を確認するため、実際の運営フローを用いた導入テストが実施された。動画ミッションにおけるAIと人間による評価の差異や、ES側の操作性、動画データの一元管理が現場スタッフの負担軽減にどれほど寄与するかなどの検証を進めた。
実証の結果、ESの管理業務にかかる時間は、約40%の削減が見込まれることが示された。特にAIによる動画採点は、人間が行う場合と比較して作業時間を大幅に短縮。採点精度についても人間との差が6.52%に留まるなど、実用的な水準を確認できた。写真や動画の一元管理により、記録保管の工数も削減された。利用者アンケートではESの80%が満足と回答し、回答者全員が今後の継続利用に意欲を示すなど、高い評価を得た。
同社は今後、開発したシステムを全ての案件へ段階的に導入していく方針だ。業務の効率化により、教育旅行・法人 事業部コーディネーターの岸本妃南子さんは「より質の高い運営へリソースを充てられるようになる」と意気込む。人手不足などで対応が難しかった自治体の大規模案件など、新たな市場展開と収益拡大に期待を込める。
一方で、生徒の意欲を高めるための動画アップロード機能の改善など、現場のニーズに合わせた細かな改修も継続して検討していくとしている。
【企業概要】
HelloWorld株式会社
代表者:野中 光、冨田 啓輔
事業内容:
国内ホームステイマッチング「まちなか留学」
国際交流プラットフォーム・AI英語教育ツール「WorldClassroom」
英語探究型フィールドワーク「まちなかENGLISH QUEST」
設立:2020年10月
所在地:沖縄県沖縄市中央1-7-8
Webサイト:https://inc.hello-world.city
本特集について
この特集は、県内IT事業者の技術高度化や産業競争力の強化を目的とした沖縄県の補助事業「ICTビジネス高度化支援事業」(令和7年度)の採択プロジェクトを紹介する連載企画です。同補助事業は、一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)が受託しています。支援事業の詳細・過去の事例については「沖縄ICT+(プラス)」から確認できます。
https://okinawaict-plus.com/
