2026年1月23日 午前7時30分

 【論説】福井大に昨夏、約30年ぶりにジャズ研究会が復活した。県内大学では唯一のジャズサークルであり、学外の学生にも開かれている。ジャズの魅力を発信し、若いプレーヤーが育つ場として、福井の音楽の裾野を広げていってほしい。

 ジャズの躍動的なスイングや、プレーヤーの個性が際立つアドリブ演奏は多くのファンを引き付ける。「グレン・ミラー物語」や「スウィングガールズ」「BLUE GIANT(ブルージャイアント)」などジャズにまつわる映画やアニメで、劇中の曲や演奏に魅せられ、楽器を手にした人もいるだろう。

 福井大工学部1年の榎園大熙さんも、小学生の頃に見たアニメや映画でジャズドラマーに憧れた。夢だったという「ジャズ研」が同大になく「それならいっそつくろう」と一念発起、SNSで部員を募った。

 ジャズ研復活に大きな役割を果たしたのは、福井県内の“聖地”とされる福井市のジャズバー「シライハウス」。ジャズ研顧問を引き受けた同大准教授の井出匠さんは店のライブにベーシストとして参加していて、ジャズ研メンバーとつながった。サークル活動に顧問を置くことは必須。学内だけでは出会えなかったかもしれず、店の存在とネットワークが生きた。

 同店はサックス奏者の白井淳夫さんが1987年に開店した。県内はもとより国内外のミュージシャンが店でライブを披露してきた。コロナ禍で一時廃業も考えたが、ジャズボーカリストで現オーナーの畑春美さんが店を引き継ぎ活動を続け、来年は40周年を迎える。

 店では月2回、即興的な演奏を楽しむジャムセッションが開かれ、若手が腕を磨く貴重な機会になっている。県内外からプレーヤーが集まり、曲をその場で決めて初対面の人とも演奏する。緊張感あるセッションに「ブルージャイアントの世界そのまま」と感激する来店者の声が聞かれる。ジャズ研メンバーも参加し、代わる代わる演奏を披露する。榎園さんは「緊張するが、経験豊富な周囲の人たちの雰囲気が温かく、安心して演奏できる」と話している。

 「ジャズ研のような学生活動がないと、若いプレーヤーが増えない」と、白井さんは言う。ジャズ研復活から半年余り。イベントへの出演や、誰でも参加できるジャムセッションの開催など活動の幅を広げており、目標の一つに「福井のジャズを盛り上げる!」と掲げている。ベテラン勢に続き、福井のジャズの火を燃やし続けてほしい。若手のエネルギーで文化の土壌はより豊かになる。

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