2025年の高知県内の主な出来事や課題を振り返るシリーズ「年末回顧」。
今回は「人口減少対策」です。
高知県の11月1日時点の推計人口は64万4348人で、去年・2024年の同じ時期と比べて1万789人も減少しました。急速に人口が減少している高知県の大きな課題として「労働力不足による県経済の維持」や「地域社会の仕組みの維持が難しくなっている」ことが挙げられます。
ベストセラー「未来の年表」シリーズなど人口減少問題の第一人者で、高知大学客員教授でもある河合雅司さんは、今の課題についてこう指摘しました。
■高知大学 河合雅司客員教授
「2025年の社会の持続はもう無理なんですね。縮んでいくことを前提として、それでもきちんと社会が回っていくことを考えなければいけない」
人口が減っても回る社会に向けて、県は今年スマートシュリンク(=賢く縮む施策)の1つとして「消防広域化」の議論をスタートさせ、県内15の消防本部を1つにまとめて2028年度の統一を目指すとしました。
しかし10月、高知市消防局は。
■高知市消防局 中城純一局長
「34市町村・15消防本部まとめていくになると、色々と課題が多岐にわたっているので、県が示している令和10年(2028年)のスタートに向けては、非常に課題があると」
また、他の市町村からも財政負担についての懸念や勤務体制・給与体制の違いをどうしていくのかなど意見が挙がり、県は11月に計画の1年延期を提案しました。
実現すれば全国初の試みとなる「消防の広域化」。2026年度からは任意協議会で本格的な議論が始まります。
一方2025年、室戸市は北海道をのぞく自治体として初めて市の人口が1万人を割り込みました。
■室戸市の80代男性
「もう全然、子どもの声が聞こえませんね。学校へ行って、あれ(卒業)したら、よそで就職」
■室戸市の90代男性
「まだまだ人口減るね。あと10年もしたら、ホンマもう5000人ばぁになるかも分からんね」
こうした急速な人口減少に対し、企業の魅力化を図る取り組みが始まっています。
機械の部品として使う歯車などを作っている地元の製造メーカー「ISS富士鍛」です。
従業員56人のうち8人は20代で、 進学で一度地元を離れた若者も入社しています。会社では女性従業員も増やそうと今後、女性用の更衣室を作るとともにある計画も進めていました。
■ISS富士鍛 高橋常務
「(室戸高校の)女子野球部の生徒さんがインターンシップで来ていただいたっていうのもあって、その時に良い印象を持っていただけたということでしたので、いっそ野球部作っちゃえばみたいな話になったので」
地元・室戸高校にある女子野球部。この部員たちが高校を卒業した後も野球と仕事を両立できるよう会社の中に野球部を作り受け皿になろうというのです。企業の魅力化を図ることは若者の就職や定着につながります。
一方で、労働力不足を補う対策として今期待されているのが「外国人材」。2024年10月時点で県内で働く外国人労働者数は5293人と届け出が義務化されて以降最多となりました。
この貴重な外国人材に長く働いてもらうため、県は2025年、職場環境などを整えた企業を認証する制度をスタートさせました。
認証を受けた企業の一つ高知市の「上田電機」。産業用機械の製造を行う上田電機では、21人の従業員のうち5人がベトナム人の技能実習生で、溶接部門や電気機器組み立て部門で働いています。
上田電機が外国人に対する環境整備で評価されたポイントの一つは、日本語教室を事業所内に設けていることで、毎朝15分、就業時間内に日本語教師の資格を取った社員が日本語を教えています。
■ベトナム人技能実習生
「日本語の勉強はちょっと難しいけど、自分のために毎日日本語を勉強しています」
また上田電機では、長く働き技術力のついた技能実習生の待遇を日本人と同じにしました。
今年日本人と同じ待遇で主任となった技能実習生5年目のアンさん(28)です。溶接部門で管理業務を担うアンさんはこの先も長く上田電機で働くつもりです。
■技能実習生 アンさん
「(日本で働く)目的は家族にお金を送りたい。上田電機が好きです。みんなが優しい。仕事がわからない、日本語がわからないとみんなに教えてもらう」
技能実習生のうち一定の専門性や技能を持つ外国人はさらに特定技能1号・2号として就労目的で働くことができ、2024年末時点で全国の技能実習生は約45万6000人、特定技能は28万4000人ほどに上っていて、アンさんも特定技能を目指しています。
消防の広域化や企業の魅力化、外国人材の活用など官民がこれまでの考え方や発想を変えて取り組みを進める中、人口減少対策の第一人者である河合雅司さんは俯瞰的な視点から必要な対策について指摘しました。
■高知大学 河合雅司客員教授
「色んな生活機能のことを考えると商圏規模を確保していくというのが大事で、どの仕事も最低限の消費者数を下回ってしまうと、もう維持ができなくなってくる。人口減少社会においては、拡散すると色んなサービス事業が続かなくなるということを考えると人口の集約ということを各地域考えていくという事が大事になってくると思います」
そして、県経済を維持するために力を入れるべき点については。
■河合雅司客員教授
「国内マーケットはどんどん縮んでいくので、これまでのように内需で食べてきた企業というのは、東京の企業も含めてやっていけない。なので外国に通用する企業、何を外国に売れるのか。これが明確になっている、またはそれを準備していく企業が1つでも2つでも高知にできてくると、まずひとつ展望が開ける」
縮む社会の中でこの先も高知県で人が暮らし続けることができるよう、私たちはできることから始めなければなりません。
