今年で79回目を迎えた芸術の祭典「県展」。こうちeyeでは、入賞作品や各部門の見どころをシリーズでお伝えしています。7回目の今回は書道部門です。

県内最大の芸術の祭典「県展」は、79回目を迎えました。今年は8つの部門に1378人から2605点の応募があり、このうち1026点が入選以上となっています。
県立美術館では洋画・日本画・先端美術の3部門、かるぽーとでは彫刻、工芸、書道、写真、グラフィックデザインの5部門の入賞作品を展示しています。

書道部門には今年、一般から646点の応募がありました。かるぽーとの会場には、特選など256作品と無監査や推薦などの15作品が展示されています。県展無鑑査の書家・和泉蒼牛さんに今年の作品の見どころを聞きました。

■書家・和泉蒼牛さん
「バーッとこう見せてやろうとか、そういう作品が意外に少ない。“動”“静”の中の“静”ですよね、そういう感じがする。それはそれで良い、その見方が。何も見せ場のある派手なものだけが芸術じゃありませんから」

今年、特選に選ばれたのは4点です。

1つ目は、矢野秘舟さんの作品「秋ふかき」。平安時代の末期から鎌倉時代の初期にかけて活躍した歌人・西行が詠んだ7つの和歌を書いています。

■書家・和泉蒼牛さん
「最初、鋭く細く始まって、どんどん中央で大きく華やいで、最後ビシっと決めていく。これ非常に優れた作品だと思う。非常に華やぐところ、締めるところ、そういう所が非常に、上手く仕上げて気品がある。習った書を表現しようとか、そういう書じゃないんですよ。これ自分で作り上げた書。だから値打ちがある」

続いては、弘田幽仙さんの作品「髙青邱詩」。中国・明の時代の詩人・高啓による漢詩の長文を3行にわたり書き上げたものです。

■書家・和泉蒼牛さん
「清らかな気持ちでさらさらと書いて、極端な盛り上げをせず、ずっといっている。(筆づかいが)もっと、本当は揺らしても良いんです。左右、3行がちゃんと揺れても一つに見える揺れ方。無理に揺れてないんですよ。どっちかというと伝統的な書き方」

こちらは、玉木麗紅さんの作品「草野心平の詩」。近代日本を代表する詩人・草野心平の詩を文字の大きさに工夫して書き上げています。

■書家・和泉蒼牛さん
「墨の塊を作ったことによって、白い所が真っ白く見えるという、そういう計算をして書いておられる。(右側の)この1行に対して、(左側の)この細い2行。これが非常に上手く書かれている。この2行が最初の1行を支える形になっているという組み立てになっていると思う。技術がないとこれは書けない」

最後は朝倉希代子さんの作品「壁」。「壁」の漢字一文字をダイナミックに、かつ、繊細に一枚の紙にバランスよく納めた力作です。

■書家・和泉蒼牛さん
「1画、2画目、これはすごい強くて素晴らしい。これで突き進むと乱暴な字になっていくけど、ここでこの人は、力を緩めて軽く筆が当たるか当たらないかという、こういう所で筆を軽くして、そして最後にギュッとこうやって締めてる。この人は、ここ(1画目)を書く時から、この表面のどの部分をどういうふうに(筆が)走っているかというのを、頭の中で分かっていて、計算を全部頭で瞬間的にやっていると思う」

最後に、和泉さんから、初心者向けに書道の作品を鑑賞する上でのポイントを教えてくれました。

■書家・和泉蒼牛さん
「書をやっていない方が初めて見る時に、“これは何という文字を書いているか”ということから入ろうとする。だから、非常に難しく感じる。絵を見るような感じです。全体でパッと見て、“あ、美しい”と感じる。じゃあ、どこが美しいかという、一つ中に入っていけるということ」

第79回県展は10月19日まで開かれていて、県立美術館で洋画・日本画・先端美術を。かるぽーとで彫刻・工芸・書道・写真・グラフィックデザインを展示しています。

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