2025/10/14

和歌山県、自然博物館現地でリニューアルで調査設計



和歌山県・自然博物館

 和歌山県は、施設の老朽化や収蔵スペースが不足する「県立自然博物館」について、今年5月に検討委員会から既存施設を増築して活用する提言を受け、自然博物館の展示・収蔵や防災の機能を高める現地でのリニューアルを計画し、26年度から老朽化施設の更新・改修のための調査設計を実施する予定。

 現在の自然博物館(海南市船尾370―1)は、和歌山県の水にすむ生きものを大水槽で展示し、動・植物、昆虫、貝、化石などの標本も展示・収蔵している。現在の施設規模はRC造地下1階地上2階建延2613㎡(81年建設)。現状の課題は①施設の老朽化=取水管・水槽など海水関連設備の著しい劣化が進んでおり、更新は喫緊の課題。また、館施設全体の劣化が進んでおり、施設の故障が多発、修繕に要する費用が年々増加②収蔵環境の改善と施設の不足=収蔵資料は約62万点あり、館内の収蔵施設が不足している③不十分な研究環境・スペース=展示スペースの確保により、学芸員が研究に要する設備が手狭な状況④地震・津波災害のリスク=立地場所は南海トラフ地震と津波による浸水が予想されており、標本・資料の毀損・流出の危惧がある⑤多様な利用者への対応=展示やトイレなどの付属施設はバリアフリーに対応していない。また、来場者用駐車場スペースが不足しており、十分な障がい者用駐車スペースも確保できていない。

 同委員会は、施設のあり方、展示、防災・減災、収蔵、管理運営及びその他の機能を検討し、自然博物館の今後のあり方に係る提言を県に行った。▽改修=老朽化した施設の更新と減災の機能付加が必要。自然博物館敷地は埋立地のため、竣工時に約45mの補強杭を敷地に打ち込んでおり、地震による建物倒壊の恐れは低い。現在の2階建構造のまま、1~2m程度の浸水を被れば、被害が2階にも及ぶ恐れがあり、全館が機能不全に陥ることになる。建物倒壊の危険性が低いのであれば現在の建物に3階以上の階層を増築し、1・2階に展示室、3階に収蔵庫や電源設備等を配置し、非常時の津波避難施設としての機能も付加し、近隣住民への開放を想定した構造とすることで、防災面においても地域貢献が可能となる。防災への備えだけでなく、増築によって現在の収蔵庫のキャパシティ不足に対応しつつ、貴重な収蔵物を津波被害から守ることができる▽施設改善=特に老朽化した管理設備の更新はできる限り早期に対応。現在の取排水設備や空調設備は耐用年数を経過した状態で使用し続けているため、故障のリスクが非常に高まっている。中でも生物の生命維持に欠かせない海水循環のための取排水設備の劣化は著しく、その対応が急務。また、来場者用駐車スペースの拡張や近年の社会情勢に合わせたユニバーサルデザインへの対応など、来館者に対する利便性の向上や福祉環境への対応にも努めなければならない。駐車場の高層化等による新たな駐車スペースの確保など、何らかの対応が望ましい―と提言した。

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