ブラジル人レジェンドスケーターのサンドロ・ディアスが、ブラジルのポルト・アレグレを代表する22階建てのビル、Centro Administrativo Fernando Ferrari(CAFF:フェルナンド・フェラーリ行政センター)の傾斜した側面からのドロップインに成功して2つのギネス世界記録を更新。スケートボードの歴史に新たな1ページを刻んだ。
ローカルスケーターたちから「究極のランプ」と呼ばれているCAFFビル(全高88.91m)の側面は、今回のディアスの挑戦のために一時的に合板でカバーされ、画期的なドロップインに向けたパーフェクトなサーフィスが用意された。
側面の傾斜が特徴的なCAFFビル
© Fabio Piva/Red Bull Content Pool
スペシャルランプの角度はほぼ直角
© Marcelo Maragni/Red Bull Content Pool
高さ55mからスタートし、最後は高さ70mからのドロップインを狙った今回の挑戦で、ディアスはノーマルのボードを見事にコントロールしてほぼ垂直の “巨大ランプ” からドロップインしたあと、高速道路を走行する自動車に匹敵するスピードに達してみせた。
この結果は、ディアスの数十年の経験と献身の証明となった。現在50歳のディアスにとって年齢はただの数字であり、彼はスケートボードの限界をプッシュし続けている。
今回のディアスは、全4段階のアテンプトをすべてファーストトライで成功させた。高さ70mからの最終アテンプトはぶっつけ本番だったが、これは未知の領域へ果敢に挑む彼のフィジカルとメンタルの強さの証明となった。世界記録更新となった最終アテンプトは8秒間続き、最高速度は103.8km/hに達した。
現地を訪れていたギネス世界記録の公式認定員により、ディアスは「世界で最も高い位置からの仮設クォーターパイプへのドロップイン記録」および「仮設クォーターパイプ世界最高速度記録」を更新。
すべてを終えたディアスは、伝えたかったことは “夢を諦めないこと” とし、今回の挑戦は13年越しの夢だったことを明かした。「(高さ70mからのドロップインは)可能だということは分かっていましたが、実際に行うのはほとんど不可能に思えていました。自分の夢がどれだけ無謀に思えても、諦めないでください!」
2つの世界記録を更新したサンドロ・ディアス
© Joerg Mitter/Red Bull Content Pool
01
世界最大ランプ:都市伝説が現実に
全高88.91mのCAFFビルは、何十年も前からポルト・アレグレのスケートボードコミュニティの中で話題になっており、ランプのようなそのユニークな側面は様々なストーリーやミームを生み出してきた。スケーターがドロップインに成功する様子をデジタル加工した動画がネット上で話題になったこともあった。
これまで実際にそのドロップインをした人はいなかったのだが、今回ディアスが成功したことで、長年ブラジルのスケートボードカルチャーに存在していたひとつの都市伝説的テーマがついに現実となった。
50歳でシーンの頂点に立ち続けるディアス
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プラダ リネア・ロッサ コレクションを着用
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時速90kmを超えるライディングに慣れるためのトレーニング
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2025年1月からトレーニングを重ねてきたディアス
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重さ40kgのウエイトベストを着用してGフォース対策をしてきた
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安全な停止方法も練習
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4回のアテンプトをすべて成功させたディアス
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最高時速103.8kmをマーク
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偉業達成を喜ぶディアス
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サンドロ・ディアス
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02
究極のランプの建造プロセス
CAFFビルの側面に登場した世界最大のスケートランプは、準備に1ヶ月、建造にさらに1ヶ月を要した。ドロップインを可能にするために、ビル外壁に合板が張られた。外壁は長年雨風に晒されていたため損傷していたり、ヒビが入ったりしており、そのままの状態でライディングするのは危険と判断されたからだ。
一時的に張られた合板は、ビルの外壁を保護すると同時に、ディアスが最上部から最下部までスムーズにライディングすることを可能にした。
また、今回の挑戦では、付随するリスクに対応するため複数の安全策が取られた。そのひとつがランプ最下部に設置されたクラッシュピローだ。通常はMotoGPで使用されているこの衝撃吸収材によって、ディアスは安全に停止できた。また、バックプロテクターを含むディアス個人が所有する安全キットも持ち込まれた。
ディアスはプロテクターの他に、安全面とパフォーマンス面の理由から特別なウェアも着用していた。今回の挑戦の厳しい要求に応えるためにデザインされたプラダのリネア・ロッサ コレクションは、熱接着加工と軽量が特徴だ。
尚、今回のために用意された約115トン分のランプ用資材は再利用される。金属はすべてリサイクルされる他、約800枚の合板は地元のNGOに送られる、あるいはバイオマスとして使用されるため、大半は廃棄物にならない。
03
サンドロ・ディアスのトレーニング
半年以上に及ぶ厳しいトレーニングを乗り越えてきたディアス
© Fábio Piva/Red Bull Content Pool
自重の約4倍のGフォースに耐えるためのエクササイズも組み込まれた
© Fábio Piva/Red Bull Content Pool
ディアスは、今回の挑戦のためのフィジカルおよびテクニックのトレーニングを2025年1月からスタートさせた。そこには、本番のGフォースをシミュレーションするためのウエイトベストを使用した練習、高速ライディング時の安定感を高めるためのエクササイズ、さらにはスピードによる振動を低減するための詳細なテストなどが含まれていた。
挑戦当日、ディアスは最大約3.9GのGフォースを受けた。これはドロップインしたあとのディアスに自重の約4倍の負荷がかかったことを意味する。言い換えれば、自分の上に乗せられた280kgのウエイトに耐えながら立ち続けるようなものだ。ディアスは次のように語っている。
「Gフォースに対してはかなり準備してきました。その準備は簡単ではなかったですね。トレーニングは本番よりも厳しかったです。だからこそ、今日は自信がありました。13年以上も夢見ていたことを現実に変え、限界を突破することができました」
04
サンドロ・ディアスとは?
バートチャンピオンに6回輝いているディアスは、2025年初頭に50歳の誕生日を迎えたが、今もグローバルスケートボードシーンの重要人物のひとりに数えられている。ディアス流のスケートボードの進化への貢献とその伝統の称賛である今回の偉業は、既存のあらゆるコンペや記録を超越した。
その伝説級のキャリアに加えて、ディアスはブラジル国内のスケートボードの発展にも尽力しており、社会的弱者の若者たちに無料でスケートボードを教えるSandro Dias Institute(サンドロ・ディアス・インスティテュート)のようなイニシアチブを通じて次世代ライダーの育成にも関わっている。
05
シーンのための偉業「スケートボードの歴史を見てみると、継続的に進化しています。常に上を目指しているのです」とスケートボード史上最も偉大なライダーのひとりに数えられるトニー・ホークはコメントを寄せた。
「私たちは高さとスピードの限界をプッシュし続けています。そして今日、サンドロは私たち全員よりも約5倍先へ到達しました。私たちは自分たちが想像しているより先へ飛べるのです」
サンドロは私たち全員よりも約5倍先へ到達しましたまた、ディアスを師と仰ぎ、現在は彼の友人でもありライバルでもあるプロライダーのライアン・シェクラーは次のように話した。
「サンドロは根っからのライダーです。常に限界をプッシュしていますし、常に他の誰よりも高く、速いライディングをしています。50歳で今回のようなことをやってのけてみせたのは、彼のスケートボード魂を示していると思います」
最後に、世界記録更新を成し遂げたディアス本人は次のように感想を述べた。
「私に力を貸して、夢を現実に変えてくれた皆さんにまずは感謝したいです。ブラジルのスケートボードシーンはこの偉業を喜ぶべきでしょう。私は以前から、この挑戦はスケートボードシーン全体に恩恵をもたらすはずだと言ってきました。ですので、今回は大きな何かを成し遂げたと思っていますし、世界で話題になることが全員の助けになるでしょう。これが挑戦した理由です」
「今回の目的は、名声を得ることではなく、限界をプッシュして、皆さんのためにチャンスを生み出すことでした。今回の成功がモチベーションとなり、より多くの人がスケートボードに取り組み、より多くのチャンスがこのスポーツに生まれることを願っています」
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