イタリア政府は、重要企業における中国投資家の保有を抑える措置を検討している。米国との摩擦を高めそうな要因を取り除きたい考えだ。

  事情に詳しい関係者によれば、対象となるのは戦略的重要性を持つと見なされる企業で、非上場企業や国営企業も含む。

  最も顕著な例の一つはタイヤメーカーのピレリだと、匿名を条件に語った関係者は指摘。ピレリの37%株は中国国有のシノケム・インターナショナル(中化国際)が保有する。

  自動車レースのフォーミュラ1(F1)参加チームにもタイヤを供給するピレリだが、中国企業による保有を理由に米国で販売制限を課される恐れが浮上していると、ブルームバーグはこれまでに報道。このためピレリは、ガバナンス(企業統治)におけるシノケムの役割を縮小しようと動いている。

  シノケムは長期投資としてピレリ株を保有しているとの立場を表明しているが、イタリア政府はシノケムに保有株売却を促す選択肢を検討していると、関係者は述べた。

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A technician works on Pirelli tires at the Belgian Formula One Grand Prix.

Source: AFP

  ピレリの問題は、新たな地政学的状況の中で欧州が直面する課題を象徴している。2008年の金融危機以降、欧州は中国からの投資を積極的に受け入れてきたが、現在は重要産業を保護しつつトランプ米大統領と足並みをそろえるため、中国から距離をとってリスク軽減を図ろうとしている。

  元イタリア政府当局者で、現在は同国の政治リスクコンサルティング会社、ハイグラウンドの責任者を務めるベニアミノ・イルディ氏は「トランプ氏が当選し、米欧関係がますます予測不可能になっているため、欧州の多くの国は貿易相手としての中国の役割を見直し始めた」と指摘。「だが、このさじ加減はいっそう難しくなった」と述べた。

  ピレリのほか、イタリア政府は国内エネルギー供給網の支配株式を持つ投資事業体CDPレティからも中国の投資家を追い出したい考えだと、事情に詳しい別の関係者が明らかにした。同社の35%株式は中国国有の電力会社、国家電網が握る。国家電網は2人の取締役を派遣しており、CDPレティの意思決定に影響力を行使できる立場にあると、関係者は説明した。

  また、世界有数の発電所建設企業であるアンサルド・エネルジアも同様の問題を抱える。同社の40%株を保有していた上海電気集団は既に0.5%まで持ち株比率を引き下げたが、それでも中国企業を株主に抱えていることが問題で、米国での一部入札にはいまだに参加が許されていないと、関係者は述べた。

  イタリアで中国の投資家を株主に持つ企業は約700社に上るが、政府の関心は主にエネルギー、運輸、テクノロジー、金融といった戦略分野の大企業に向けられている。

  イタリア政府、ピレリ、CDPレティ、アンサルド、シノケムのイタリアを拠点とする広報担当者はいずれもコメントを控えた。

  一方、中国外務省の報道官は、同国とイタリアの投資協力は互恵的で、第三者による干渉があってはならないと主張した。

  「中国政府は常に、市場原理に基づく国際協力を中国企業が行うことを支持しており、イタリア側には中国企業に対して公平かつ公正、差別のない事業環境を提供し、正当な権益を効果的に保護してほしいと考えている」と報道官は語った。

原題:Meloni Seeks to Shrink Chinese Holdings at Key Italian Companies(抜粋)