スイス政府は8日、臨時の閣議で米国からの関税39%の影響や対策を協議し、今後も引き下げを求めて交渉を続ける方針を確認した。報復措置は控えるという。
スイス政府は臨時閣議後、「関税を可能な限り迅速に引き下げることを目的に、引き続き米国との協議を粘り強く進める。米国当局や影響を受ける産業部門との緊密な連絡を維持していく」との声明を発表した。また、「現時点では、米国による関税引き上げに対する報復関税は検討していない」と従来の立場を改めて強調した。企業に対する救済措置など経済対策の検討も進めるとしている。
スイス産品に課された関税は先進国では最高水準で、ケラーズッター大統領らが発動直前に訪米したものの、回避には至らなかった。

ベルンで記者会見に臨むスイスのケラーズッター大統領(中央)
Photographer: Fabrice Coffrini/AFP/Getty Images
ケラーズッター氏の5-6日の緊急訪米は、結果的に屈辱的なものとなった。同氏はトランプ米大統領との面会を拒否され、代わりに通商交渉を主導する立場にない、ルビオ国務長官と会談しただけに終わった。
ケラーズッター氏はベルンで記者団に対し、スイスの交渉官らがワシントンに残り、合意を目指し調整を続けていると述べた。
スイス・フランは7日、対ユーロで0.2%下落し、6月以来の安値をつけた。6日には0.6%下落しており、8月に入ってからの下げ幅は1.5%に達した。対ドルではほぼ横ばいだ。スイス株は、7日の取引では欧州全体の市場とおおむね同様の動きで、一時は1%上昇する場面もあった。
ジュリアス・ベアの株式戦略責任者マチュー・ラシェター氏は「スイス株は再び逆風にさらされている。関税が正式に発動した今、スイスは米国への優遇アクセスを持たない唯一の先進国として、孤立することになった」と語った。

元駐独スイス大使のトーマス・ボラー氏は、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「スイスは今後数時間のうちに、巨額の貿易黒字にどう対処するかについての戦略的行動計画を打ち出す必要があるだろう。トランプ氏が関心を持っているのはこの一点だけだ」と語った。
スイス国内では複数の党の政治家から、米国の関税に対する対応として、米国防大手ロッキード・マーチンからのF35A戦闘機36機の購入契約を破棄すべきだとの声も上がっている。
原題:Swiss Cabinet Holds Emergency Session as US Tariffs Kick In (1)(抜粋)
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